※これの過去編
静帝結婚話
トントントンとリズム良く野菜を切る音がする。
鼻歌まで口ずさみながら野菜を切っているのはかの池袋の自動喧嘩人形こと平和島静雄だ。
彼が何故こんなにも機嫌が良いのかというと…
ちょうど1年前帝人が20歳になった時
「静雄さん」
「ん?何だ?」
「ちょっと出掛けませんか?」
「あぁ、いいけどよ…どこ行くんだ?」
「ちょっと静雄さんと行きたい所があるんですよ。それと、今日は僕に運転させてもらえませんか?」
「えっ!?あ、あぁ別にいいけどよ…んで、どこ行くんだ?」
「それは…ひ、秘密ですっ!」
「えー、何だよケチくせぇなぁ」
「いいから、早く行きましょう?ねっ!早く行きましょうよっ!」
「あぁ、わかった。わかったよ。」
そう言って着いたのは洒落たイタリア料理の店だった。
「ちょっとお腹減ったんで食べていきませんか?」
「いいけどよ…何かここ高そうじゃねぇか?俺、急いでたから財布の中あんま入ってねぇぞ」
「僕が持ってるからいいんです!さ、行きましょう!」
「お、おう…」
半ば強引に押されながら店に入っていった。
― ♪ ―
「あぁー、美味かった!腹いっぱいだ!」
「ふふっ 僕もです」
「さて…そろそろ帰「あのっ!」ん? どうした?」
「さ、最後に…あの観覧車乗ってきません…か?」
顔を赤らめながら上目使いに聞かれれば断れるはずもなく(まぁ、帝人のお願いならなんだって断れねぇけどな)二つ返事で可愛いお願いを了承した。
ゆっくりと観覧車は頂上に向かっていく。
帝人はと言うと、さっきからモジモジしていてなんだか顔も赤い…気がする。
沈黙に耐えきれなくて話しかけようと口を開こうとした時、
「静雄さん。」
先程の雰囲気は消え去り
何か決意を固めたような真剣な眼差しを向けられた。
そんな表情にドキッっと胸を高鳴らせながら、静かに話しを聞き始めた。
「僕達もう付き合って4年目に入りますね。」
俺は首だけを縦に振り、それを確認した帝人は続きを話し始めた。
「ここまで来るのにいろいろな困難もありましたが、それでも僕達はお互いを支えながらその困難を乗り越えてきました……それで、僕、静雄さんに言おうと思ってたんですが…」
そこで一旦話しを止め、俺の手を握って
「静雄さん、僕と結婚してください。」
と言ってくれた。
「お…俺なんかでいいのか?」
「いいんですっ!静雄さんじゃないとダメなんです!」
「お、俺も帝人と結婚したい!いや、帝人以外考えらんねぇ」
「っ!静雄さん!」
お互いの言葉にドキドキしながら
俺たちは静かにキスをした。
ちょうどその時観覧車はてっぺんに着いたようで、帝人の顔と夜景が綺麗だったのを覚えている。
…なんてことを思いだしていたら、
「静雄さん、ただいまー」
帝人が帰ってきた。
「良い匂いしますね、今晩はカレーですか?」
「あぁ、もうすぐ出来るからもうちょい待っててくれ」
「はい、分かりました……あ、静雄さん」
「んっ?」
と振り向いたら瞬間、
チュッ
「た、ただいまのチューですっ!」
と顔を真っ赤にして急いで寝室に行ってしまった。
俺は呆然として、やっと気付いた時にはもう恥ずかしさと嬉しさで顔が真っ赤になっていた。
やっと動ける様になった頃には可愛いイタズラをした愛しい人をどう仕返ししてやろうか、と考えながらドアを開けた向こうで待ち伏せしてる可愛い旦那の元へ向かった。
俺達は毎日が新婚だな
僕達は毎日が新婚ですね
ガチャッ
(わっ!)
(っ!?帝人っ!?吃驚したじゃねぇか)
(ふふっ静雄さん可愛い)
(なっ!?帝人だって可愛いすぎる)
(ち、違いますよ!五月蝿いお口には…えいっ!チュッ塞いじゃいますよ)
(-プッツン- 煽った帝人が悪いんだぞ)
(えっ!?ちょっ静雄さんっ!?ダ、ダメですってばあぁぁぁぁあ!)
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