「貴様まさか…」
1本の街頭が道を怪しく照らす中、若者は呟いた。呟いた先には1人の少女の姿があった。
「今更気がついても遅いのよ」
「うわぁぁぁ」
若者は灰になった。
『容赦ないな』
「仕方ないじゃない、先に仕掛けてきたのはあっちなんだから。」
少女の傍らには蒼い竜がいた。少女は静かに灰に背を向けるとゆっくりと歩き始めた。
「夜想曲、アレはどこにあるかわかったの?」
竜は頷く、そして『日本だ』と告げた。
「……日本…」
少女は少しだけ微笑んだ。
「この3枚のカードが世界の全てを握ってるなんて、あたしには信じられないけれど、あなたが言うならそうなのでしょうね…」
『ああ、そのカードにはかつて、闇の力を封印した、清き力が宿っている、その力が奴らの手に落ちたら、終わりだ。』
「……このカードの持ち主も、探さなきゃいけないのね。」
『ああ、必ずそのカードが選ぶ人間がお前の前に現れるはず。』
少女は無言でその場を後にした、その顔はいかにも“無表情”という言葉が合っている表情だった。
* * *
「こんにちは初めまして、日本にようこそ。」
「いえ、こちらこそ、わざわざ迎えに来て頂きありがとうございます。」
空港まで治安維持局が少女を迎えに来た事から、この少女はそれなりに立場のある人間であることが伺える。
「ったく、なんでこんな子供のために俺らが来なきゃいけないんだか。」
「牛尾捜査官、失礼ですよ、世界ジュニアチャンピオンに対して!」
「んだと?こいつがジュニアチャンプだと?」
牛尾が怒るのも無理はない、誰かの護送だと思えば、まだ歳も小学生位だと思われる子供だったのだ。
「……別に、信じないなら信じないで構いませんよ。その代わり、デュエルしませんか?」
少女はそう言うと、笑って、デュエルディスクを構えた。