「………なんだこれ……」

その翌日だった、僕に2つのたまごが生まれた。その二つには何かの動物の模様が書いてあった。

「キツネと、うさぎ…?」

「おい、らいの、学校遅れっぞ!」

放心状態でたまごを見ていると扉の向こうから空海兄ちゃんの声がした。時計を見ると時計は8時を指していて、僕は急いでたまごをカバンに入れて、制服を着て外で待っている空海兄ちゃんに追いついた。

『空海!急がないと遅刻だぜ!』

その時初めて“それ”を見た。

「…………」

空海兄ちゃんはそれと仲良く話していて、今朝生まれたあれから“それ”が生まれるのかなとなんとなく自分で状況を飲み込んだ。

それからというもの僕には“それ”が見えるようになった。

隣のクラスの辺里くんには、変な偉そうな“それ”
同じく藤咲さんには、着物を着てる“それ”
一つ下の結木さんには、赤ちゃんみたいな“それ”

そしてもうひとり、時々同じ番組に出演したりする、ほしな歌唄ちゃんにも、天使と悪魔の“それ”がいた。

幽霊というより、なんか、不思議な感じがして、僕のたまごからは何が生まれるのかなととても楽しみだった。



* * *


「こん、授業終わったぞ。」

『んあ、おはよう、らいの、その顔はまたあの子のこと考えてたのか?』

「まぁそんなところさ。」

『会えたらいいな!あの少年に!んでもって言うんだろ?お礼を』

僕は笑って「ああ」とこんに返事をして、カバンをもって所属してる野球部の練習に急いだ。

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