「研磨、奈月ちゃん、飯食おうぜー」 また例の先輩がやってきた。けど今日の私はいつもとは違うのだ。 「すみません先輩、今日は友達と一緒にご飯食べることになってるんです」 「なっちゃん!!」 手を振ってやってきた女の子。その姿を見つけて私も自然と笑顔になる。 隣に立ち、すぐ横にいる二人の顔を珍しそうに覗いている。 「友達ってこの子?」 「そうです」 「何々ー?この方たちは?」 「こっちは同じクラスの孤爪くん。こちらは・・・」 「あれ、もしかして男子バレー部の主将さんですか?」 「おーよく知ってるね、黒尾鉄朗ですヨロシク」 「橘六花です!」 「えっ、バレー部の主将さん・・・?」 驚きのまま孤爪くんのほうを見ると、彼はひとつ頷いた。 「まぁまぁ、せっかくだし橘さんも一緒に飯にしようぜ」 「いいんですか?じゃあ遠慮なく!」 ・・・結局こうなってしまうのか。 「だけど本当にビックリですよ!いつの間にかなっちゃんに新しいお友達ができてたなんて」 「俺も、ちゃんと奈月ちゃんに友達がいたんだと分かって安心したよ」 一瞬で仲良くなっているりっちゃんと黒尾先輩。お互いにきっとコミュ力が高い人種なのだ、きっと。 「そうそうなっちゃん、あれの続きやった?」 「うん、少し進めたよ」 「教えて教えて!」 「えっと・・・」 ちらりと先輩のほうを見れば、「俺らのことはお構いなくー」なんて返事が戻ってきた。 「確か前回は街に到着したところだったよね」 「うん、聖剣祭ってお祭りが始まっててね、聖堂で剣の儀っていう参加型のイベントをしてて。導師だけが抜くことができると言われる聖剣が刺さっていてね・・・」 話に夢中になる女子二人を、男子二人が優しい目をして見つめていた。 |