いよいよ梟谷での合宿が始まった。
烏野が到着するとのことで出迎える。

「久しぶり、奈月ちゃん」
「潔子さん!お久しぶりです!・・・と?」
「谷地仁花です!よよよろしくお願いします!」
「こっ、こちらこそ!」

1年生らしい新人マネージャーさんが、腰を直角に折ってお辞儀をしている。
釣られてこちらも最敬礼を返すと、潔子さんがくすくすと笑うのが聞こえた。

「潔子さんが笑っている・・・!」
「音駒マネさんすげえ・・・!」

烏野男子たちの待望の眼差しを受けるのをひしひしと感じながら、一緒に体育館へと向かった。



強豪揃いということで、なかなかどこも一筋縄ではいかない。
勝ったり負けたりを繰り返しながら、新しい技やコンビネーションを掴んでいく。
みんなの成長を、必死でノートに書き込んでいった。



「烏野はやっぱりすごいね、後からきたあの二人の連携は何度見てもびっくりする」
「あれでも最初は喧嘩ばっかりだったの」
「そうなんだ!?」

休憩時間に潔子さんとお話。同じバレー部マネージャーという話題を共有できる数少ないお友達。
そして、可愛らしい新しいお友達。

「でも、今はきっとお互いを信頼していると思います!」
「すごいよね」
「日向、影山くんなら絶対やれるって信じて疑わないから・・・です!」
「あ、いいよ、敬語じゃなくて。私も今年からマネージャー始めたばっかりだから仁花ちゃんと一緒だよー」
「そうなんですか!良かった、仲間がいた・・・!」

「ちょっといいか?」

割って入ってきた、聞き慣れた声に顔を上げる。黒尾先輩が手招きしていた。

「悪い、ちょっと奈月借りるわ」
「どどどどうぞどうぞ!」
「テーピングしてくんね?」
「分かりました」

どうぞのポーズのまま固まって二人を見送った仁花は、残された二人で顔を見合わせた。

「あれってもしかして・・・」
「ふふ、そうかもね」





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