りっちゃんプロデュースの元、精一杯おしゃれして軽くメイクもして待ち合わせ場所へと向かう。 『買い出しだからあんまりガーリー過ぎず、シンプル過ぎない可愛い感じにしたよ!なっちゃん元から可愛いんだからこれくらいでバッチリ!黒尾先輩も胸キュン間違いなし!行ってらっしゃい!」 なんて、忙しいのに私の部屋にメイク道具持ち込みまでして頑張ってくれた。 待ち合わせ場所に行くと、すでに到着している黒尾先輩の姿。あわてて時間を確認するも、まだ待ち合わせ時刻の10分も前だった。 こちらに気が付いて歩み寄ってくる。 「すみません、待たせちゃいましたか」 「そんなことねえよ、それにしてもなんか今日の奈月はいつもと雰囲気違うな。可愛いじゃん」 「えっ、ありがとうございます」 さらりと褒めてくれる先輩、恥ずかしくて顔がまともに見れない。 そんな私を察してか、先輩はそっと私の左手を取って歩きだした。 デート、といいつつ主目的は部活用の消耗品等の補充だ。 行先はスポーツ用品店。リストを見ながら、かごに商品を入れていく。 買うもの自体は決まっているので、さほど時間をかけることもなく。 荷物は何も言わずとも先輩が持ってくれる。そんなところでもまた惚れ直してしまう。 (先輩の私服もかっこいいなあ・・・) なんて横顔を見ていたら、それに気付いた先輩がニヤリと微笑む。 「帰るにはちょっと早いし、ここでお茶でもどうですか?お嬢さん」 「あ、はい!」 一も二もなく返事して、二人でお店に入った。 小洒落た感じのケーキ屋さん。ショーケースには美味しそうなケーキがたくさん並んでいる。 「ザッハトルテ2つ。奈月飲み物は?」 「えっとアイスティーで」 「じゃあアイスティーも2つ」 「かしこまりました」 テーブルに向かい合わせに座る。 置いてある調度品も可愛らしくて、キョロキョロ見回していると先輩に笑われた。 「先輩ってケーキ屋さんとか詳しいんですか?」 「いんや、ここは研磨のオススメの店でさ」 「そうだったんですか」 「ちなみに奈月がチョコレートに目がないのは橘さんに聞いてリサーチ済み」 「まじですか」 「まじです」 いつの間に・・・と思いつつ、いただきますと一言断りザッハトルテを一口食べる。 あまりの美味しさに頬が緩む。 今まででダントツ一番の美味しさだった。 |