「恒例の梟谷グループの合宿だが、今年は烏野も参加することになった」 直井さんが告げる。途端に、対抗心をかき立てられるメンバーたち。 「へぇ、あいつらがねぇ」 「翔陽たち、来るんだ」 各々が思い浮かべるライバルたちとの再戦に、胸を躍らせているのだった。 「じゃあなっちゃんこの夏は忙しいんだー」 お昼休み。りっちゃんに合宿があると告げる。 お弁当を口にしながら彼女は爆弾発言までぶちかましてきた。 「せっかく両想いになれたのに、二人っきりの時間が全然ないってことじゃないですか、ねえ黒尾さん」 「ちょっと、りっちゃん何言って」 「ほんとそうなんだよな」 「先輩!?」 りっちゃんに報告をしたときは、それはもう自分のことのように大喜びしてくれた。のだが。 昼休みにりっちゃんの前で二人揃うたびに、こうやっていじってくるのが大変だった。 先輩も先輩でそれに悪ノリしている始末。心臓がいくつあっても足りない。 「合宿前だし消耗品の買い出しでも二人で行けば」 相変わらず目線は下に落としたままの研磨くんの一言。 先輩とりっちゃんが目を合わせて、おお!と歓声をあげた。 「そうするか、奈月」 「いいじゃん!行ってきなよなっちゃん。孤爪くんナイス!」 「は、はい」 そんなこんなで、初めてのデートがいつの間にか決まっていたのだった。 |