烏野高校。 以前から因縁のライバルだった相手との久しぶりの練習試合。 私にはそんな事情は分からないけれど、みんながお互いを意識していることは容易に見て取れた。 そして私も・・・ (超美人!!超美人!!!) 烏野高校バレー部の美人女子マネージャーに釘付けになってしまうのだった。 「清水潔子です。よろしくね」 「秋原奈月です!よろしくお願いします!」 「なんじゃあの美人な烏野マネさんは!!!」 「うおおお音駒のマネさんかわいい!!!」 「静かにしろ!田中!」 「山本うるせー!」 そんなこんなで練習試合が始まった。 今日もスコアボードを清水さんと二人でめくる。 「奈月ちゃんは、最近入ったばかりなんだ?」 「はい。だから分からないことだらけだけど・・・みんなの力になれたらなって思ってます」 「そうだね。見てたら私も何かやってあげたいって思うよね」 潔子さんは美人な上に知的で素敵な人だった。 私もあんなふうになりたいと、心から思える人だった。 たくさんたくさん話をした。 烏野の曲者揃いな新1年生、新しい先生とコーチ、全国への想い。 クールそうに見える潔子さんの熱い想いが垣間見えた。 (全国・・・音駒も、全国へ!) 1セット目は見事音駒が勝利した。 2セット目を始める前に、すかさずドリンクとタオルを渡しに走る。 「奈月ちゃん、ちょっと」 見れば、黒尾先輩が少し離れたところに立って手まねきをしている。 小走りで近づく。先輩がかがんで口元で手を隠し、小声で私の耳元に囁く。 ひとつ頷いて、また潔子さんの元へと戻っていった。 |