さっきから何度も何度も、メールを作っては破棄を繰り返している。 (最初はなんてメールすればいいの?要点だけじゃ冷たい印象かな・・・でも長々書いても鬱陶しいだろうし・・・) 考えぬいた末に、シンプルな文面を送信した。 ベッドに寝転ぶ。 今日の出来事を思い返すも、浮かぶのは黒尾先輩のことばかり。 不意に手の中のスマホが震えだす。 もう返信が来たのかと思い画面を見れば、それは電話だった。 黒尾鉄朗と画面に表示されている。 飛び起きて、ひとつ深呼吸してから電話を取った。 「・・・もしもし」 『おう、奈月ちゃん。メールサンキューな』 「いえ。それより何かあったんですか?」 『いや、何かあるわけじゃないんだが・・・今日結構帰るの遅くなっただろ、時間大丈夫だったか?』 「ああ、大丈夫ですよ。親は帰るの0時とかなんで」 『そっか、なら良かった。んじゃあまた明日な』 「はい、おやすみなさい」 『ん。おやすみ』 電話で話す先輩の声は、いつもと違ってなんだか特別な気がした。 |