昼食時の某バーガーショップ。

「あの、本当に奢ってもらっていいんですか?」
「いいっていいって、好きなの選びな」
「ありがとうございます」
「ご馳走様」
「あ、研磨お前には!ったくしょうがねーなー」

ちゃっかり奢ってもらった研磨くんが席のほうへと歩いていく。それについて行って、向かいの席に座った。
先輩がトレーを持って席に来る。研磨くんの隣、私の斜め前。

「しかし、すげぇ食い入るように見てたな、奈月ちゃん」
「え、そうですか?」
「ああ、なあ研磨」
「うん、結構視線を感じた」
「なんか、お邪魔したならごめんなさい」
「そんなことねぇよ、どうだった?バレーボール」
「なんかすごい迫力で、ちょっとびっくりしました」
「はは、見慣れてなけりゃあまぁそうかもなー」
「でも、かっこよかったですよ」
「だろ?惚れた?」
「もう、何言ってるんですか」

せっかくほめたのに、全く一言多い人だ。
ニコニコとなんだか上機嫌の先輩。きっと本当にバレーが好きなんだなぁ。

店を出る。日差しが暖かくて心地いい。
歩き出したところで先輩が足を止め、こちらを振り返る。

「送ってくよ、奈月ちゃん家どのへん?」
「いいですよ、私家近いですから」
「へぇ、学校歩いて来てるの?」
「そうなんです、お二人は?」
「電車」
「俺も。研磨んちのすぐ近所だしな」
「あ、じゃあ駅まで行きましょう、うちも駅前なので」

二人は幼馴染って言ってたっけ。ご近所さんなんだなぁ。いいな。
・・・いいな?

「なあ奈月ちゃん」
「なんですか?」
「バレー部のマネージャー、やらね?」
「えっ」

思わず足を止める。それに気付いた二人が3歩先で止まって振り返る。
先輩は真面目な顔、研磨くんは相変わらずの無表情。
小走りで追いつき、また歩き出す。

「私バレーボールのこと何も知らないので・・・」
「それはゆっくり覚えていけばいいからさ」
「・・・いきなり私みたいのが入ったら邪魔じゃないですか?迷惑かけそうだし」
「おれは、全く知らない人が入ってくるよりはなっちゃんがやってくれるほうがいい」
「・・・研磨くんまで」
「奈月ちゃんがマネやってくれたらすげー助かるんだけどなー」
「・・・」

無言のまま歩く。ちらりと二人の顔を伺うが、何も読み取れはしなかった。
そのまま駅に着いてしまった。

「奈月ちゃんちは?」
「私はすぐそこなので」
「そっか、じゃあ俺らはこっち。考えておいてね、奈月ちゃん。じゃあなー」
「バイバイ」
「さようなら」

二人は改札へ通り、人混みに消えて行った。



「どう思う?」
「・・・微妙」
「だよなぁ。来て欲しいんだがなぁ。ゲーム的に言えば親密度が足りないってやつ?」
「クロうるさい」





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