「というわけだ。どうかこの中に入って革命軍を助けてきてほしい」 「・・・わかりました」 これは依頼だ。 自分の心に言い聞かせ、青い光の中へと足を踏み入れた。 「よく来てくれた、感謝する」 気がつくと数人の男が自分を囲っていた。 彼らは革命軍、共和制を取り戻すための民衆の友の一員だ。 ・・・ランジエの、仲間だ。 彼がいくら懇願しても首を縦には振らなかった自分が、彼の知らないところで共闘するなんて。 心のざわつきが止まない。 しかし、これは依頼だ。 何度も言い聞かせ、ボリスはウルリッヒという男を助けに向かった。 「ありがとうございます。助かりました」 これから王城を攻めるらしい。 アノマラドの首都ケルティカを、パンダレックス・ダ・アノマラドを落とすらしい。 「準備はできましたか?」 黙って首を縦に振る。いよいよ向かうは戦場だ。 さすがに王城というだけあって兵の数が多い。 ボリスたちは向かってくる兵を端から斬っていった。 人の命を奪う、やはりやりきれない気持ちがある。 しかしこれは依頼だ。ここは過去のケルティカだ。幻想だ。 そう言い聞かせてウィンターラーを必死で振るった。 ウルリッヒは銃の名手だった。 持っている銃の形こそ違うが、戦い方は変わらない。 再びあの青い髪の青年のことが脳裏によぎる。 彼らはパンダレックスをテラスまで追い詰めたが、あと一歩のところで逃がしてしまった。 吐血したウルリッヒを支え、王城を一歩出るとボリスは時の寺院に戻ってきていた。 残ったこの気持ちは・・・ボリスはやりきれなさに顔を歪める。 どうせなら彼と共に戦いたかったという後悔 彼に対しては手を貸せなかったのに、依頼だからと引き受けた背徳感 そして民衆の友として戦ったのに、結果的に王政が終わらなかったことに安心していること。 「ランジエ・・・すまない・・・」 やりきれない想いが募る。 顔をうずめた指の隙間から、涙が一筋、頬を伝っていった。 |