びっくりするほど豪華な料理が並べられていた。
見たこともない獣の肉や、不思議な形のフルーツ。違う世界ということを改めて認識する。
あまり長居するつもりはなかったが、これは興味深い。
椅子が用意されていないのは、立食形式ということか。

「お酒は飲みますか?」

ジェイドがワイングラスを片手に尋ねてくる。手慣れた様子が少し照れくさい。

「アルコールはちょっと」
「そうですか、ではこちらを」

深い紫色の液体が注がれる。いい思い出がないので本当は飲み物も遠慮したいのだが・・・。

「エミリア、私が倒れたらあとはよろしくね」
「えっメリーさん!」
「おやおや、信用されていませんね」

一口喉を通す。柔らかい酸味としっかりした風味が口に広がる。すっきりとした香りが抜けて、後味も抜群だ。

「美味しいわ」
「でしょう。ここの葡萄は世界でも有名なんですよ」

口の中で転がして楽しむ。本当に美味しい。

「疑ってごめんなさい」
「いえいえ、まぁ貴女に色々あったのは想像がつきます」

ですが、と一息置いてジェイドは私の耳元で囁く。

「私のことはもう少し信頼して欲しかったですね」
「してるから飲んだのよ」
「おや、そうですか」

「なんだなんだーお前らだけ盛り上がりやがって」

そう言いつつ、さりげなくエミリアの肩に腕を回したピオニー陛下。

「セクハラですよ、陛下」
「お前も似たようなことしてるじゃねぇか」
「私とメリーの仲ですから」
「ちょっとジェイド」
「ずるいぞお前ばっかりーなぁエミリア」
「えっ、は、はぃぃっ、いや、ちがっ」
「ふふ、良かったわね、エミリア」
「メリーさんまでぇ・・・」
「ほら、お前さんも飲め飲め」

陛下がエミリアのグラスに注ぐ。それを口に運んだエミリアの表情がぱっと明るく輝いた。

「美味しい!」
「だろう!メインもあるぞーどんどん食べてくれ」
「はいっ!」

目を輝かせるエミリアを微笑ましく眺めていると、フリングス将軍がやってきた。
ジェイドからボトルを受け取り、注いでくれる。

「先程は挨拶もせず失礼しました。アスラン・フリングス少将です。私の毒も癒してくださり、本当に感謝しております、メリー様」
「様だなんてそんな。メリーと呼び捨てで構いませんよ」
「では、私のこともアスランとお呼びください、メリー」
「分かったわ、アスラン」



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