確証はない。彼女に治せるのか、彼女を連れて次元を超えられるのか、彼女に悪い影響が出ないのか。 しかし今出来る最善の手だ。 そう考えて、エオルゼアに戻ってきた。 彼女の家に、ノックして入った。 「メリー」 「あらジェイド、お帰りなさい」 まるで新妻のようなお迎えに顔が綻ぶのを感じるが、今日の目的を再認識して切り替える。 「メリー、頼みがあります」 「何かしら」 「一ヶ月ほど、私に時間を頂けますか」 「どうしたの?」 「今から私と一緒にオールドラントへ来てください」 「・・・何があったの」 「私の国で原因不明の奇病が大流行して、意識不明の者が大勢います。彼らの血液を調べると、エーテルのようなものが確認できました。現地の治癒術士では圧倒的に数が足りない。なので貴女の力を貸してほしい」 「・・・何分待てるかしら」 「5分で決めてください」 「分かったわ・・・エミリア、いる?」 一瞬どきりとしたが、彼女がここにはいない人に話しかけているのだとすぐ理解した。 「新しい冒険に出たかったらすぐに私の家に来て。そう。お願いね・・・ビル。うん、私とエミリア、一ヶ月ほど留守にするわ。もしかしたらそれより長くなるかもしれないけど・・・うん。ありがとう、頼んだわ」 話が終わったらしい彼女は、またあの早着替えで前にも見た黒いローブに着替えた。三角帽子をいつもより深く被り、黒のベールで目元以外をぐるりと覆う。彼女の特徴の角を隠したのだろう。尻尾はそのふくらんだスカートの下にすっぽり埋まっていた。 ドアが開く。メリーとは対照的に白のローブを纏ったエミリアが入ってきた。 「あ!あのときの、えっと、ジェイドさん!」 「はい。お久しぶりです、エミリアさん」 「来てくれてありがとう、エミリア。実はね・・・」 軽く説明をすると、驚くどころか彼女は闘志を燃やした。 「正に白魔道士の出番じゃないですか!もちろん行きます!」 「脅すわけではないのですが、一緒に次元を超えられる確証はありません」 「大丈夫よ」 落ち着いたメリーの声。エミリアも頷く。 「私たちはハイデリンの加護を受けた光の戦士ですからね!」 「そういうこと。じゃあ行きましょう」 「分かりました」 いまいち納得できない理由だったが、時間がない。 三人まとめて光に包まれていった。 back * top |