それから数日後、検査の結果が出たが、元々の数値がおかしくなっているようなことはなかった。 ただし、何とも分からない正体不明の音素が体内に、ごくわずかながら残留していることが発覚した。 これが研究者に知れたら、第8の音素として祭り上げられるのではないだろうか。 念のためと完全に自力で検査して正解だった。 正体不明の音素は、十中八九エーテルだろう。 音素へと変換する際に、多少残渣が出ることは有り得ない話ではない。 ただ、もしこのエーテルが大量に体内に留まることで何か異常が起こるようなら・・・。 まぁ、あんなに大それた戦闘を連続でこなして、普段じゃ有り得ないほどに譜術を短期間で連発してこの量なら、特に気にするほどではないかもしれない。 彼女のカードをもらえばTPが瞬く間に回復するので、調子に乗って譜術を使い過ぎた自覚はある。 次に行くとしたら研究、調査の為だ。恐らくこの間のような戦闘にはならないのではないだろうか。 しかし、ピオニーは納得しないだろう。 腕に着けるタイプの音素濃度測定器を改良する。 体内の音素量とエーテル量がこれでモニタリングできるはずだ。 「よう、調子はどうだ?」 翌朝訪れた陛下の私室にて、結果の報告を行う。 改良した測定器も見せた。 「そうか。まぁお前が行く意思が固いってのは分かった。確かそっちじゃ、瞬間移動ができたりするんだろ?」 「えぇ、一度訪れる必要など、いくつか条件があるようですが、満たしてしまえばどんな距離でも、瞬時に移動ができるようです」 「本当なら大変なことだな。他には何かあるか」 「あちらの治癒術士はとても優秀なようです。ある程度なら後天的に術を修得できて、詠唱は長くても3秒程度、なんなら詠唱なしで走りながら術を唱えるなんてことをしているのも見ました」 「ほう、第七音素の素養がなくても治癒術が使えるようになる光明かもしれないってことだな」 「えぇ。まずはその辺りを調べてみようかと」 「分かった。移動にリスクはないんだな?」 「それも今回計測してみますが、あの言葉からするにないのではないかと」 「・・・そうか。では行ってこい。ただし期限は3日だ」 「3日間、ですか」 「ジェイド・カーティス大佐にエオルゼア調査の任を命ずる。明々後日の夕方までには戻るように」 「御意」 back * top |