戦闘にもだいぶ慣れてきた。
と言っても、敵の攻撃を受けることはないのでただひたすら敵に火力を叩き込むだけだ。
TPが枯れてくると槍を具現化させて接敵し、斬りかかる。

「え、ちょっとおい、槍使うの?」

とまぁいちいち最大級の驚愕を見せてくれるリーダーのおかげで、退屈しないで済む。

「ふむ、槍がいきなり出てくるところではなく、私が槍を使い出すことに驚くのですね。これは興味深い」
「武器や装備を見えなくさせる技術はこっちにもあるからそれはね」
「おや、そうでしたか」
「私たちの常識では、槍を使いつつ攻撃魔法も使えるというジョブは有り得ないということよ」
「なるほど、ある程度決まった型があって、それにはまった成長をするということでしょうかね」
「大体そうね。よく考えればおかしな話だけど」
「黒魔が槍もって攻撃してる・・・」
「メリーさーん、リーダーがパンクしてますぅ」
「私たちの世界の仕組みをよく知っている人間ほど、彼の存在を受け入れるのに時間がかかるのは当然ね」
「貴女はパンクしないのですか?メリー」
「最初に貴方に槍を突き付けられたときに、必死で色々考えたのよ」
「槍を突き付けられた!?」
「はて、そんなことがありましたっけねぇ?」
「よく言うわよ」

そう笑い飛ばした彼女の横顔は綺麗な笑顔だった。

行き止まりにある魔法陣はワープ装置のようだった。
逆さの塔の内部に入り、先へとどんどん進む。
天井を歩き、上り階段を下る。
はるか頭上には赤いカーペットの引かれた床が見え、目の前にはシャンデリアが、まるで上に引っ張られているかのように直立している。
逆さの塔とは文字通りに逆さになった塔だった。
しかし、塔が逆さなのかはたまた自分たちが逆の重力を受けているのかは、もはや判断する術もなかった。



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