「超える力、ですか?それは一体」
「言ってみれば特殊な能力よ。人によって顕現の仕方が違うけれど、言葉の壁を超える力や、己の限界を超える力、時間を遡り過去を見る力とかそんな感じね」
「あなたの場合、まず他の世界から来たということで、次元の壁を超える力が使えるのだと思うわ。そして言葉に不自由しなかったということもあるようだし、言葉の壁を超える力もそれなりにあるのかもしれないわね」
「もしかしてさっきヤ・シュトラと最初に会ったとき、しばらくぼうっとしてたけれど、まさか過去視を・・・」
「・・・確かになにか、ここではない風景を見ました」
「・・・本当に?どんな場面だったの」
「洞窟のような場所で、貴女ともう一人男性が、大勢の兵士に囲まれているような場面です」
「それってまさか!」
「えぇ、ウルダハのあの夜だわ。エンシェントテレポを使ったときね」
「他には?」
「いえ、それだけです」
「そう、でもこれで確定したわね」
「そうね。となると次に気になるのは、ジェイドは何故ここに呼び出されたか、ね」
「私は呼び出されたのですか」
「恐らくね。来る直前の夢で見た声はきっとハイデリンの声だわ」
「ハイデリンというと、確かこの星の名前でしたよね?」
「そう。つまりは星の声よ。星の意思が絡んでるんだわ」
「あの、もしかしてまた逆さの塔にいけばハイデリンとお話出来るんじゃないですか?」
「そうね!ナイスだわエミリア」
「確かに、直接確かめるならそれが良さそうね。マトーヤに会いに行く必要が出来たわね。丁度いいわ、私も少し聞きたいことがあったのよ」
「逆さの塔、ですか?」
「そう、シャーレアンの魔法施設の名前よ。私たちは行ったことがあるのだけど、なかなか強い魔物が住んでるから・・・4人で行かなくてはならないわね」
「4人?」
「そう、私たちの戦いの基本形が4人パーティね。私とジェイドと・・・エミリア、ここまで関わったのだから一緒に来てもらうわよ?」
「はい、そのつもりですっ!」
「あとひとり誰かを入れる必要があるけど・・・ヤ・シュトラは行かないのでしょう?となると・・・」
「リーダーですか?」
「そうね、ちょっと呼んでみるわ」

そう言って後ろを向き、少し離れて会話を始めたメリーに、エミリアもついて行って話をしているようだ。



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