「ありがとう、チョコボの面倒まで見てもらって、助かったわ」
「おう、また来いよな。兄ちゃんも」
「ありがとうございます」

挨拶を済ませ、西へと飛び立った。


「少し高度を上げるわよ。ここからはドラゴン族の領域だから」
「はい」

確かに、眼下にワイバーンの姿が見える。
彼らを刺激しないよう、視界の上を飛ぶ。
もし彼らが飛び立ったときは・・・まぁ、彼女なら何か考えがあるのだろう。

それにしても自然が豊かな場所だ。
やはりドラゴン族の領域ということで、人がほとんど立ち入らないからだろう。
この風景をこの高い視点から見られるというだけでも、今までからすれば貴重な体験だ。
こちらにきて数日が経ったが、どれもこれもあちらでは有り得ないことばかり。
意外と順応してきている自分に驚く。
あちらに帰った時が大変そうだ。
あのワガママ陛下は元気にやっているだろうか。

「低地ドラヴァニアに入ったわ。あと少しよ」

いつの間にか風景が変わっている。
高低の少ない平野が広がっていた。
相変わらず敵は強そうだが、ドラゴンではなく獣や虫などの魔物が見える。
そして、崩れた建物、剥がれた道路、折れた街灯・・・。

「ここは街だったのですか?」
「あら、よくわかったわね。ここはかつて、北洋都市シャーレアンの植民都市だったのよ。だけど帝国とのいざこざがあって、大撤収とかいってみんな本国に引き上げちゃったそうなの。だから今は、ゴブリン族が跡地を住処にしてるみたいね。今から行くイディルシャイアも、話のわかるゴブリン族が住んでいる地域よ」
「話のわかる蛮族がいるのですか」
「だいたいの蛮族にいるわよ。どこにだって攻撃的な個もいれば、穏和な個もいるということよね。イディルシャイアのゴブリン族は、ヒトとうまく共存しているわ。得意の金属加工技術で、機工房を作ったりね」
「なるほど・・・」



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