席につく。
テーブルの上に広げられた大きな地図。
前に彼女に見せてもらったものより狭域のようだ。
彼女もその地図を目で追っている。

「大審門というのは?」
「ここクルザス中央高地と、皇都イシュガルドを繋ぐ、雲海の上に架けられた長い橋のことよ」

彼女が地図上に指をさす。

「今はここ。クルザス中央高地のキャンプ・ドラゴンヘッドね。こっちがさっき通ってきた道。こっち方面がグリダニア領の黒衣森。明日はこの大審門を通って一旦皇都に入ったあと、クルザス西部高地に向かうわ。ずっと西にいくとドラヴァニアなの」
「ふむ、わかりました」

ドラヴァニア地方はこの地図には載っていないようだが、見える範囲だけでもおそらく今日の行程の倍近くある。これは本当に長い道程のようだ。

「明日は、出来れば西部高地を抜けてドラヴァニアまで行っておきたいのよね」
「この距離を、明日1日でですか?チョコボに乗るとしてもそれはあまりに無謀では?」
「あぁ、そうそう、チョコボに乗れるから大丈夫なのよ。確かに長時間にはなるけど、無理ではないから心配しないで楽しみにしてて」

そう言ってにこにこした彼女は、布団を被りソファに横になって先に寝てしまった。
仕方なく自分も横になる。
彼女が大丈夫というのだから大丈夫なのだろう。
そう思うことにして、目を閉じた。



翌朝。
早朝から出発する。
朝早いのに起きていたコランティオに挨拶をし、チョコボを西へと走らせた。
すぐに着いた大審門。見張りの兵士がこちらを見るが、連れが彼女であると認識すると途端に敬礼をする。

「なんともなかったわね」

結局顔パスで通れてしまった。
どれだけの活躍をすれば、国外のいち冒険者があれだけの認識をされるようになるのやら。

「貴女は随分有名人なんですねぇ」
「ここでも戦闘があったから、少し顔馴染みってだけよ」
「戦闘ですか」

確かに、ところどころ崩れていたり、燃えた跡が残っていたりと戦闘の余波を感じる。

「ここは、ドラゴン族の皇都への侵入を防ぐ防衛ラインでもあったのよ。巨大な魔法障壁が施されていたらしいわ」

ドラゴンの爪痕を感じながら、長い雲廊を歩いて渡る。
遠くに見えていた高い塔がかなり近くなってきた。

「あれが皇都ですか」
「そう。教皇トールダン7世が長らく治めていたけれど、いろいろあって討ったから今は共和制になったところよ」
「討ったって、まさか貴女が・・・」
「そう、私たちが。簡単に言うと、教皇が竜の力を使って蛮神になってしまったのよね。敵対してるはずの竜の力を使った上に、竜詩戦争の始まりは人間側の裏切りだったことをひた隠しにしてたのよ・・・。蛮神は討つ、それが私たちの役目でもあるから」
「・・・」

あまつさえ国の頭首を討ったという。
謎は深まるばかりだが、あまり彼女は言いたくはないようだ。
彼女は国や環境のことは随分詳しく教えてくれるが、自分自身のことを多くは語らない。
私が外の人間だからか、信用が足らないのか、その両方か・・・。


長い雲廊を渡り終え、ようやく皇都へと足を踏み入れた。

「ここがイシュガルドよ」



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