都市内のいたるところにあるエーテライトと交感して回る。
最初のものよりサイズが小さいが、これは都市内転送用だそうだ。
街の観光も兼ねてと言えば聞こえはいいが、なかなか広い街を歩き回るのは骨が折れる。

「ちょっと失礼」

そう言ってメリーが後ろを向いた。そちらには誰もいないが、宙に向かって喋り始める。

「エミリア?・・・そう、良かったわ、え?・・・なるほど・・・わかったわ、ありがとう」

「・・・エミリアさんと話していたのですか?」
「そうよ」

平然と答える彼女。目の前にいない人と会話する技術。一体どれだけの技術がここにはあるのやら。

「ヤ・シュトラはしばらくイディルシャイアから離れられないそうよ。でもこちらが行くなら会ってくれるって」
「どういう方なんです?」
「あぁ、そうだったわね。エーテル学の専門家のようなものよ。彼女はエーテルが視える。貴方の体内のエーテルがどうなっているのかわかるかもしれないわ」
「なるほど、まずは体の安全からということですね」
「えぇ、ほんとはエミリアの話を逸らすための口から出任せだったのだけどね。でも会ってみる価値はあると思うわ。ただ・・・」
「何か問題が?」
「イディルシャイアは歩いていくにはとても遠いのよ・・・」



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