「取り敢えず何でも聞いてくれていいわよ、答えられることには答えるから」
「そうですね、ではエオルゼアという国ことを」
「正確には都市国家群ね。昔は6つで6大都市なんて言われてたそうけど、今軍事同盟を結んでいるのは4つよ。海の都リムサ・ロミンサ、砂の都ウルダハ、森の都グリダニア、山の都イシュガルド。エオルゼアというのはこのあたりの地域の総称。各都市にグランドカンパニーという、まぁ・・・軍のようなものがあって、軍のトップや王族など様々だけど、各都市に頭首がいる。冒険者はグランドカンパニーに所属することが推奨されていて、私は前に言ったとおりリムサ・ロミンサの黒渦団に所属しているわ。でもこの家はグリダニア領にあるし、まぁわりと自由なのよ」
「ふむ、エオルゼア内では対立はしておらず、ガレマール帝国というのが共通の敵ということでしょうか」
「そうね、そうなるわ。帝国はエオルゼアを侵略しようとしている。現にエオルゼア内にいくつもの帝国基地が出来てしまっているの。しばらく前に、エオルゼア侵略の第一人者ガイウス・ヴァン・バエサル率いる第XIV軍団がエオルゼアまで来たということで、こちらから仕掛けて勝ったから今は小康状態といったところね。あちらは今跡継ぎ問題でも揺れているようだし」
「なるほど、だいたいわかりました」
「あら、頭がいいのね」
「いえ、大変よくわかる説明でしたよ」

少し照れたように顔を臥せて、人に説明するのが好きなのよ、という彼女。
微笑ましく思いつつコーヒーをもう一口飲んで、マグカップを置く。

「そうなると、私の身の振り方が悩ましいですね」
「冒険者ではなく、一般的に暮らしている人もたくさんいるわ。帝国の支配から逃れてきた難民もたくさん・・・だけど貴方には戦う力がある。それもとても強い。各国のグランドカンパニーは熱烈歓迎で貴方を自国に引き入れようとするでしょうね」
「おや、経験が?」
「・・・聡いわね、駆け出しの頃の私でそうだったんだから貴方の力が知れたら煩そう」
「なるほど」
「貴方にはあまりオススメできないわ。確かにある程度の生活が保障されるのだけど、代わりに何かと戦力を当てにされるし、政治の云々に巻き込まれるし・・・」
「苦労されて来たのですね」
「全くだわ。一度はウルダハで指名手配よ・・・まぁ、所属しないデメリットは一部の物資の支給の制限くらいだから、冒険者ではなく一般人として過ごすのがいいと思うわ」
「わかりました」
「と言っても、普通の一般市民の生活を私は何も知らないの」
「何か仕事をしたり、農業をしたりでしょうか?」
「そうなのだろうけど・・・別にお金に困っていないし。貴方1人増えたくらい何てことないのよね」
「おやおや、女性に養われるなんて男が泣きますね」
「・・・じゃあ何かやりたいことがあるかしら?」
「そうですね、お金を稼ぐのはさておき、もっとこの世界に関する深い知識が欲しいですね。もしかしたら元の世界に戻る為の方法がわかるかもしれませんし」
「知識・・・資料・・・図書館・・・図書館ねぇ・・・」
「図書館があるのですか?」
「あった、が正しいかしらね、あそこは今は魔物だらけに・・・一応入れなくはないけれど、一人だと厳しいわね・・・少し方法を考えておくわ」
「お願いします。あともう一つ頼みがあるのですが」
「何かしら?」
「字を教えて頂けますか?」
「あぁ、なるほど・・・これは先が長そうね、わかったわ」
「お世話になります」

そう言ってにっこり微笑むと、彼女からは苦笑いが返ってきた。



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