「おはよう、レミリア」

「アレルヤ、おはよう」


アレルヤは彼女の笑顔を見るのが好きだった。
毎朝おはようを言いに、どこかにいるはずの彼女を歩き回って探すほどに。

コトッ

彼女の去ったあとに、ごく小さな音を立てて何かが落ちた。
拾ってみればそれは、繊細な装飾の施された鍵だった。

「あ、レミリア」

前を行く彼女が振り返る。
柔らかな髪がふわっと靡く。

「これ、落としたよ」

アレルヤの手の中にあるものに気付くと、途端に駆け寄ってそれを受け取った。

「ありがとう、これ凄く大切なものなの」

「そうなんだ、今度は落とさないようにね」

「うん、見つけてくれたのがアレルヤで良かった」

ふわり、そう表現できそうな笑顔で彼女は感謝を伝えてきた。
それじゃあね、と立ち去ったあとも、ぼんやりとその場に立ち尽くす彼。


「男ならもっと強引にいけよ、何なら俺が代わりにアイツを落としてやろうか」

ハレルヤの声。
状況を楽しんでいるだけなのは聞いて取れる。

「ダメだ、ハレルヤ。僕は別に彼女を独り占めしたいわけじゃないんだ」

「はぁ?」

「僕は、彼女の笑顔を見ていたいだけなんだよ。遠くからでも構わない。」

「はぁ…」


ハレルヤには理解出来なかった。
それって要はそいつの事が好きなんだろ、なんで攻めてったらいけねぇんだ。

アレルヤはうまく言えないながらもなんとなくわかっていた。
憧れ、癒やし、そんな感じなんだ。


雲間から差す一筋の光の様な


その笑顔を見れるだけで、今日も頑張れるから。





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