ロックオンはとても忙しい。 せっかくの休日の朝にふたりでのんびりしていたら。 コンコン、ガラッ ノック直後に開けるなんてノックの意味ないじゃない、なんて思いながら見上げると、そこには固い表情の紫色。 「ロックオン・ストラトス」 「なんだティエリアか、どうした」 「貴方に話がある」 ティエリアはこちらに一瞬だけ視線を寄越したが、すぐにロックオンのほうを向いた。 当のロックオンは、やれやれといった表情で私の頭に手をそっと乗せる。 「悪いなレミリア、すぐ戻るから待っててくれるか?」 そう言われれば頷くしかないわけで。 そっと頭を撫でると大きな手は離れて、ティエリアと一緒に部屋を出ていった。 素直に待ってはいたものの、彼の部屋にぽつんとひとりではすることがない。 それでも30分待って、待ちきれなくなって外に出た。 どこにいくわけでもなく歩いていると、ロックオンを見つけた。 ティエリアはもうそこにはいなくて、今度は携帯で誰かと話している。 「…そうかい、ようやくクリスも振り向いてくれるのかもな、良かったじゃん、リヒティ」 その場を離れて、休憩室へ。 椅子に座ると、自然に溜め息が漏れた。 「あら、レミリア。若いのに溜め息なんてついたら幸せが逃げるわよ」 「スメラギさん…」 またお酒飲んで、なんて思ったが口にするほどの元気もない。 「ロックオンはどうしたの?」 「ロックオンは…どっかいっちゃいました」 「まぁ、薄情者ねぇ」 「そりゃないぜ、ミススメラギ」 声のしたほうを見ると、入り口に彼が立っていた。 「遅くなってごめんな、レミリア」 「ううん」 「レミリア、そういうときは『なんで私のことほっとくの!酷いわ!』くらい言っていいのよ」 「まぁ…、仕方ないし…」 「ミススメラギのより、レミリアの返事のほうが余計心にぐさっとくるねぇ」 「あらあら、じゃあ私はここらで退散〜」 背を向けて手を振りながら出て行った。 改めてロックオンのほうを見ると、なんとなくしょげているような気がした。 「ロックオンは人気者だね」 「そうでもないぜ?俺としてはレミリアさえいてくれればそれでいいんだけどな」 「わたしもそのほうが嬉しい」 「…そうか、よし決めた。今日、残りの時間はずっと一緒だ」 「ずっと?」 「そう、ずっと」 「…嬉しい」 「そりゃ良かった」 手を取ってもらって部屋を出る。 さて、なにをしようかな。 わたしのためだけの時間 ずっとそれが続けばいいのに。 |