「ねぇ、どうしてそんなによくしてくれるの?」

レミリアはいまだに理解できずにいた。
彼が自分にそこまで執着する理由。

「お前さんのことが好きだからに決まってるだろう?」

「でも、なんで私なの?私より可愛い人も、優しい人も、世の中にはたくさんいる。
あなたなら、相手に困ることなんてないんでしょう?」

「そういう問題じゃないんだよ。お前だから、お前がいいんだ」

怪訝そうな顔で見上げると、困り果てたような笑顔を浮かべていた。

「俺は、お前がお前だから一緒にいたい。
だから今までもお前だけを見てきた。
勿論これからもだ」

言葉につまる。
伝えたいことがなんなのか、聞きたい言葉がなんなのか、自分でもわからない。

「正直、お前には少し申し訳なく思ってるんだ」

「え…」

「俺が、お前の人生を大きく変えてしまったこと」

友達の少なかった彼女にとって、彼との出会いは運命的。
すでに彼女の世界は彼となっていた。

「俺がお前の人生に大きく影響を与えてしまった、その責任を取らなきゃって気持ちもあるんだ」

「義務感、ってこと?」

「そうじゃないさ。
お前が俺に影響されたように、俺もお前がいないとダメなんだよ」

「そう、なの?」

「俺の、お前に対する束縛心が限界を超えたとき、俺はずっとお前と一緒にいなきゃって思った。
いや、いなきゃいけないというか、それが当然と思うようになった」

彼は眠るときに必ず、彼女を抱き寄せて耳元にキスをする。
それが、体にも心にもくすぐったくて、じれったかった。
どれだけ優しくされても、不安感が拭えずにいた。
それは彼を信じられないからではなく、自分を信じられないから。
彼が大切にする自分に自信がなかったからだった。

「だから俺は今お前といる。
お前は、俺とこの先ずっと一緒にいるんだ。
そう決めたんだ。
そうじゃないと困るのさ」

「…うん」

「俺はお前のことをとても愛おしく思ってる。
だから辛そうにしていたらできる限りに助けてあげたい」

「こんな、ダメな私なのに?」

「お前はダメな子なんかじゃないさ。
可愛くて、優しくて、一緒にいると安らげる、俺にとってなくてはならない存在だ」

暖かい胸に収まると、力強い腕がその意思の強さを示していた。
背中が痛く、苦しくなるほどの抱擁。
絶対に、絶対に離さないという強い気持ち。

「ニール…」

掠れた声に腕の力が弱まる。
大きな手のひらが頭を撫でると、両耳を包み込んで、優しいキスが降ってきた。

「レミリア、愛してるよ」

不意に感情が込み上げる。
なんだ、私はそう言って欲しかっただけなんだ。
同じように抱きつくと、そっと頭を撫でてくれる。

声に出して伝えて

そして私を安心させてほしい






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