5



※18禁小説注意




「佐久間ァ」
 その声色で呼ばれると、佐久間は条件反射のように背筋を凍らせてしまう。

「来いよ。性欲処理だ」
 不動は、自分のことを何だと思っているのだろうと、不平を表情に表す。しかし不快な返答になるのは分かり切っているので、佐久間は黙って不動に従う。
真帝国学園から関係をもち、再会して以降もただれた性交を繰り返すようになってしまった不動と佐久間は、その瞬間だけ出会った頃のように戻る。
ベッドに投げるかのように放られ、押さえつけられた佐久間がもがく。しかし後頭部を掴まれ、ベッドに押し付けられてしまえばなすすべもない。ズボンを下ろされ、下半身が露わになる。不動が用があるのはそこだけなのだろうと、吐き捨てるような気持ちになった佐久間は、その割れ目にローションを流される。

「早く腰上げろ」
「黙れ!」
 佐久間の戸惑いを無視して、不動は足を押しやると、無理矢理相手の腰を上げさせる。指を容赦なく差し込まれ、佐久間は横溢感に苦しげな声を上げた。二本の指が、入り口を広げる。効率だけを考えたような動きが、佐久間の受け入れ体勢を作っていく。前戯があるだけましである。充分に拡張した不動は、菊座へ自身をあてがい、挿入を開始した。

「てめぇ…俺の呑み込んで喘いでんだぜ?どれくらい入ってるか分かるか?」
「知らねえ、よ!さっさとしろ!不快だっ!」
 その言葉を聞いた不動は口角をあげ、佐久間の後頭部を押さえつけていた手でその髪を思い切り引っ張った。反り返る佐久間の耳元に口を寄せることで、深いところまで不動のものが入り込む。

「締め付けて満足させてみろよ」
 犬のように這わされ、閉まらない口元から声が出てしまう。屈辱に屈辱を塗り重ねられ、佐久間は目尻に涙をためていた。しかし決してそれを流さずに、眼下のシーツを睨み付ける。

「足りねぇ、な!」
「あっぅっ」
 思い切り突き上げられて高い声が出る。動物の交尾のような現状に嘲りが浮かんだ。自分が犬ならこいつも犬であると。勃ちあがっている場所からはじわりじわりと先走りが流れ出る。その感覚が苦痛でならない。

「どこがいいか言ってみろ」
「ッ!」
「そう?それじゃ、勝手にやるぜ」
 わざととしか思えなかった。一番感じる場所から僅かにずれた位置を刺激してくる不動の攻め方に、もどかしさが募っていく。長い間の葛藤があった。シーツに唾液を垂らしながら、声を噛み殺す、地獄のような時間を経て、焦らしに焦らされた佐久間はひくひくと腰を揺らしていた。虚ろな瞳をしながら、必死に抵抗している佐久間を不動は手の平で転がしている。

「そろそろ、一回イっておくか?」
「!!っあっ!っウアッアッ――!」
 呆気なかった。高まっていたものは前立腺への激しい刺激で、一気に解放をされた。菊座が相手を締め付ける。律動的なその動きは不動を放すまいとしているようだった。直接触られていない箇所からは、とろとろと溢れるような精液が流れた。

「尻の穴だけでイく淫乱佐久間くんとは違って、俺はまだ満足できてねぇんだけど?」
「…馬にでも、っ…挿れてろ」
「ヘェ?言うじゃねえか」
 嘲笑を含めた言葉に、不動は佐久間の腰を掴んでぐるりと反転させた。正常位の形になった佐久間は、真正面に不動の表情を捉えて、いたたまれなさに唇を噛んだ。脚を掴まれて、敏感な箇所に攻め入られる。

「もう抜け!一人でやってろ!」
「どの口が言ってんだ?」
「ッ!」
 言い返そうとするが、次の瞬間動きを再開されて叶わなかった。思い切り脚を広げられる。体の柔らかい佐久間は限界まで脚を開くことになる。不動の動きがはっきり見える今、先ほどとは違った刺激に脳内が揺れる。理性が焼き切れていく。最後の矜持だけが瞳に残っていた。

「ひあっあっ」
「アンアン鳴いてんじゃねぇよ。黙ってくわえ込んでろ」
「っぐっ、ぅっ」
 二度目の絶頂を知らせる、わずかな痙攣がおきていた。細い声が高くなっていく。しかし、いよいよ達すると思われた時点で、不動の動きは止まる。生殺しに耐えかね、半ば無意識のうちに下半身へ手を伸ばすが、相手に手首を掴まれて制止させられる。

「またイかせてもらえると思ったのか?」
 羞恥に顔が赤くなるのが分かった。相手を睨みつける佐久間の瞳にも、僅か媚びるような光があることを自覚していない。溜まった精液が疼く。しばらくすると不動の動きが再開されるが、完全にイく前に制止される。それを何度も繰り返す内に、佐久間の最後の矜持も崩れていく。今では不動の足を舐めてでも、自分の中のものを出してしまいたいと感じる。もどかしさに死んでしまいそうだった。

「も、イかせて…」
「あ?聞こえねぇなァ」
「イかせて、ください……」
「やだね」
 限界を超えて、気を失ってしまいそうだった。耐え難い拷問のような攻め方をされて、佐久間はとうとう涙を零す。なまじ先ほどの快感を味わっている分、辛くて仕方がなかった。

「ふどぉ……も、おかしく、なる……む、り…っ」
 その懇願を聞いた不動は目を細め、両手を佐久間の首へ回す。次の瞬間、容赦ない締め付けに情けない悲鳴があがる。それさえも出なくなった佐久間は全身を戦慄かせた。

「甘えてんじゃねぇよ」
 ようやく気管が開放され、せき込むように呼吸を再開したところで、不動の動きも速くなる。

「ッっ!っあっっあ!!」
 いいところを容赦なく攻め立てられ、佐久間はやっと熱を吐き出すことができた。しかし荒い呼吸のなか、絶叫のような喘ぎ声が重なるのは悶絶するほどの苦しさであった。溺れた者のように浅い息を繰り返す佐久間は、奥に不動の熱い精液を感じて愕然とする。完全に汚された身を強ばらせると、不動のものが入り口を通る感覚に自然、声をあげてしまう。
ようやく呼吸が整ってきたところで、佐久間は再び髪を掴まれ、引っ張られる。抵抗する力も残っていない佐久間が大人しく従うと、先ほどまで結合していた位置に頭を向けられる。シーツに染み付いた大量の液に佐久間は視線を逸らした。

「お前の排出物だよ」
 耳を舐められ、口に含まれる。不動の熱が菊座からじわりと流れ出るのを、内太股に感じながら、佐久間は歯ぎしりすることしかできなかった。こんな男に囚われている自分にも、こんな自分に執着する、この男にも。


戻る
Top