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※18禁小説注意




 ビヨンはその美しい顔を歪ませていた。眉間にしわを寄せて唇を噛み締める、彼のそんな姿をあまり見たことがないチームメイトは戦慄して距離をとっていた。ビヨンは完全に、怒ると恐い属の一員である。その視線の先、無邪気に微笑む佐久間は後の不幸を予感することもなく鬼道についてまっていた。


「気に入らない」
「何、がッ」
「気に入らない」
 体育倉庫に押し入れられ、地に這わされた佐久間はその頭部をビヨンに踏みつけられていた。ビヨンが私服でなく、靴がスパイクであったなら、佐久間は大変な怪我をしていたことだろう。しかしあくまで容赦は一切しないビヨンは体重をかけて相手を押し付けている。突然その足が離れたかと思えば次に、腹にその爪先が食い込んだ。サッカーボールの無数に入ったカゴに背中を打ち付けた佐久間はしばらく起き上がれずに咳き込んでいた。跫音を鳴らして近付いていくビヨンがその前髪を掴み、上向かせる。夜の猫のように、薄暗い体育倉庫の中で目を光らせているビヨンは残忍で純粋な眼差しを相手に向けている。

「お前を手に入れるにはどうしたらいいか、考えたんだ」
 しゃがみ込んで佐久間の苦しげな顔をまじまじと見たビヨンは、乱暴に相手の服をはぎ取り始めた。馬乗りになったビヨンを押し返すことができない。佐久間が抵抗を強めると、その頬を打ったビヨンは呆然となった相手の唇を奪った。口の端を噛み付かれながら、蹂躙するような口付けに目の前を暗くしている佐久間の下着すらおろしてしまったビヨンが、性急に下腹部をまさぐる。嫌だと叫ぶ声にも耳を貸さずに愛撫の手を強めた相手に、自分のものとは思えぬ声を聞かれるのが嫌で、佐久間は口を固く結んだ。生理現象として反応してしまう部分を十分に時間をかけて蕩けさせたビヨンは、敢えなく出された白液を指で遊んだ。

「っ……」
 打ちのめされて放心状態の佐久間の唇にその指を差し込んだビヨンが、舌先に指を絡めていく。苦い味と唾液が交わり、嗚咽が生まれるのも構わずに。やがて抜き去った指を、未だ状況を理解しきっていない佐久間の菊座に沿わせた。
「!?」
 ビヨンが何をしようとしているのか全く理解できない佐久間は、自分の中に入ってくる相手の指に、刃物で斬り付けられるような痛みを感じて身を強張らせた。

「いっっぁっあ!!!」
 艶めかしい悲鳴と共に、仰け反る肢体に鬱血を残しながら、佐久間の中をかき混ぜていく。やがて増えていく指は次第に中を慣らしていくが、未知への恐怖とおかしな感覚に、裂くままは吐き気すら催している。
「力を抜いていないと、危ないぞ」
「……ぁ、え…、…!!!!ぐ、あっぁああああ!!!」
 飛び出しそうなほど目を見開いて、涙を流し始めた佐久間は断続的な下腹部の痛みに意識を飛ばしてしまいそうになった。いっそ飛ばした方が楽なのだが、あと一歩の所で引き戻される。生温かいものが流れ出る感覚が一層痛みを増していく。叫び声すら刺激となるのか、ビヨンは腰を容赦なく進めていく。途中何度もつっかえては、あやすように佐久間の髪を撫でた。怖ろしいほどの時間を持って侵入したものが蠢いている。相変わらずの激痛の中に甘いものがあって、悲鳴の合間に嬌声を上げてしまう。
「初めてにしてはよく呑み込んだな……。お前にはその才能があるのかもしれない」
「う、ぁあ、あっ……」

 落ち着いた低音も耳には届かない。とうとう訳も分からず快感に支配された佐久間が果て、気を失ったのを見届けたビヨンは、この場にそぐわぬほど優しい口付けを相手に落とした。
「じきに手に入れる。心の方も絶対に」
 睦言のような言葉は相手には届くことなく、閑散とした体育倉庫に霧散しただけだった。


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