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※18禁小説注意





「むりむり、いやだこわい!」
 そんなことを言ってしがみついてくる佐久間の、可愛らしい面を見た源田は胸が高鳴るのを抑えきれなかった。帝国サッカー部で海へ来たは良いが、一向に泳ごうとしない佐久間を誘って海岸を散歩していた時だ。岩山を抜けた先に誰もいない砂浜を見つけて、そこから海へ導いたのだが、水に入るやいなや、わなわなと体を震わせ始めた佐久間は、断固としてそれ以上進もうとはしなかった。
「佐久間……カナヅチだったのか……」
「うるさい!うるさい!泳げなくても生きていける!人間は陸上の生物なんだ!」
 喚き散らしながらも、恐怖を隠そうとしない佐久間に愛おしさが募ってくる。
そういえば帝国では体育の授業が選択制なので、プールを希望しなければ入らなくてもよかった。それで今まで誰にも気付かれなかったのだろうなと源田は思考した。これで佐久間が海へ行くことを最後まで渋っていた理由が分かった訳だ。
「こわくない」
「泳げる奴にこの恐怖は分からない!」
 いきり立つ佐久間を誘うかのように海風が彼の髪を揺らしていた。扇情的な光景に、源田はいつの間にか相手を押し倒していた。白浜に佐久間の肌が映えていて、ゴクリと生唾を呑み込んだ。驚いた様子の佐久間の足元には、寄せては返す波が僅かに届いていた。
「源田?!」
「ダメだ、我慢できない」
「ちょ、こんな、とこでっ!」
 パーカーのチャックを下ろすと、鬱血をつけないように優しく首筋や鎖骨を舐める。その感覚に反応した佐久間は僅か、息を荒くした。性急に水着の上から佐久間の下腹部を触り、執拗なその動きで起立させていく。抵抗を弱める佐久間も、年頃ゆえにこういったことには抗いがたいのだ。源田の濡れた髪から雫が落ちる。真上の太陽を背景に、逆光となった源田は真剣な面持ちで佐久間を攻め立てる。ゴールの前に立つときのような、そんな表情に弱い佐久間はもう身を任せるより他なかった。

「はぁっ、は、っ……」
 先走った液が水着を濡らして滑りをよくしている。するような手の動きが快感だけに絞られていく中、唇を噛むように互いを求めた。源田に腕を回して目尻を下げている佐久間は、物欲しそうな顔をしていた。自覚はないのであろうそんな顔が、源田には何よりもの興奮材料となるのだ。取り出した二つのものを合わせて扱き出す源田、その直接的な刺激に達してしまいそうになるのを何とか堪えながら、佐久間は唇から密かな声を漏らした。
「っふ、ああっ、っぁっ、」
 荒い吐息の合間、堪えてももれてしまう高い声が波の音を遮って源田に届く。最後までできないのは惜しいが、一応場所を弁えないといけない。下腹部の刺激と、佐久間の乱れた姿、両方で攻め立てられた源田は、佐久間が達した直後に精射を終えた。
互いの腹の辺を汚した精液を処理すべく、半脱ぎ状態になっていたパーカーを取り上げ、力なく横たわったままの佐久間を抱き上げて海へ入っていく。我に返った佐久間は一気に抵抗し始めた。

「大丈夫、深くまでいかないから」
「お前と俺じゃ身長が違うんだよ!お前が深くなくても俺には深いんだよ!」
「大丈夫だから。ほら、慌てると落ちるぞ?」
 身を凍らせた佐久間が大人しくなったのを良いことに、しがみついてくる体温を独り占めにした源田は、腹のあたりまで水がくるポイントで佐久間を降ろした。断固として離れたがらない相手を離すのは惜しかったが仕様がない。佐久間は胸の所まで水が来ていた。相変わらず源田の手を掴むのを止めていない。

「意外と温かいだろ?」
「ん……まあ……」
「ほら魚」
「!!」
 腕の力が強くなる。それと共に苦笑した源田は佐久間の髪を撫でると、上向かせて口付けた。しょっぱすぎる口付けなのにどこか、甘みを感じるのは、互いに陶酔しきっている証拠だった。


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