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※性的表現を含みますので18歳以下の方はご遠慮願います。



「なあ、一度でいいから」
 顔がいい奴はとことん卑怯だと思う。女子に尋ねれば十中八九「格好いい」と目を輝かせるような男は何を言っても様になる。普通の女であれば彼の変わった性癖毎愛し、全てを受け入れるのであろうが、佐久間には高い矜持が備わっているためそれは叶わない。手に持っている衣装毎蹴り飛ばして拒絶を示しながら、「変態!」と罵るが相手は全く意に介していないようである。無駄に顔が良い源田は引くどころか更に迫り、切なげにお願いモードに入る。

「絶対お前に似合うから!」
「嬉しくない!」
「佐久間!」
「そんなに女子の格好の奴が好きなら、普通に女子と付き合えばいいじゃねえか!」
「佐久間以外は断る」
「じゃあ有りの侭の俺を愛せよ!」
「有りの侭も愛してる、だが、羞恥を堪えながら屈辱的な表情で大嫌いな女子の格好を、俺のためにしてくれるという佐久間の愛が俺は欲しいんだ!」

「変態!」
 何度目かかわらない言葉と蹴りを放つが、見切られている攻撃は容易にかわされてしまう。逆に脚を掴まれ接吻される。その無駄な格好良さに益々腹が立って抵抗するが、源田は決して揺らがない。そんな押し問答を馬鹿馬鹿しくなるくらい続けて、結局折れたのは佐久間の方だった。今、佐久間は丈の短いスカートと、セーラー服に身を包み、黒いカラータイツを穿いて羞恥に震えながら輝かんばかりの表情の源田の前に立たされている。

「佐久間……」
 座している源田に手を差し伸べられる。倒れるようにその腕の中へ落ちていくと、耳元で「可愛い」と告げられる。耳を赤くしながら答えに窮していると、源田の唇が膝に乗る。タイツ越しに愛撫され、戸惑う佐久間の表情を堪能した源田は、相手の足先を口に含んでわざとらしい音を発した。気付き、手を伸ばして大きな鏡を倒そうとするが、源田の手がやんわりと阻む。鏡の中には足を舐められ、恍惚としている自分がうつっている。しかもその姿は女子も妬む美少女である。背徳感がいつもの数倍背筋をぞくぞくと刺激し、早くも下半身が濡れ始める。タイツを噛むように少し引っ張った源田は、露わになった下着に手を伸ばして含むような笑みを浮かべた。いつもとは比べものにならないほど、加虐的な笑みである。慈しむように頬を撫でながら、もう片方の手で胸への愛撫を重ねる。

「いつも以上に、敏感だな」
「黙れ」
「俺も、少しまずい」
 視界の中に入る自分は何とも惨めだった。男に自ら震える足を開き、言葉で反抗していても体では性急に求めている様子がありありと映し出されている。源田の首筋に手を回しながら、音を立てて跡を残していく彼の感触を味わった。スカートを捲り上げられるようにして下腹部に触れられ、擦られる毎に甘い息が唇から漏れ出てしまう。嘲弄されているようで更に興奮が強まる。タイツと下着越しの愛撫に我慢ならなくなって、「早く……」と口にしたときの声が余りに雌じみていてゾッとする。頬に口付けられたあと、侵入してきた手に自身を包まれて身を捩る。後方にゆっくりと指を挿入されると、いつもよりも感度が増していることに気付く。膝までタイツと下着を下ろされ、緩く足を開いた佐久間はゆっくりと源田を受け入れ始めた。後ろから犯されるような形であるが、鏡のせいで余裕のない源田の表情がありありと伝わってくる。

「はぁっっ、ぁん、ああっ……」
 いつもより高い声で喘ぎながら、容易に達してしまう佐久間は、源田が射精するまで幾度も攻め立てられた。激しい攻めに息も絶え絶えになりながら、こういう趣向も悪くない、と思ってしまったのは、佐久間が精神共に疲労困憊していたからなのだろう。


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