女王様が恋をした! (R18)/リーフ×ホリー


※18禁小説です、ご注意下さい。




 代表選考のための強化合宿期間だった。最初見たときから気に喰わなかったのだ。あの少女のような顔の裏に見え隠れする悪魔を、ホリーは既に感じていた。開放的なオーストラリアでは同性間の恋愛も珍しくはない。あの容貌ならば惹き付ける者も多いだろう。親衛隊のように男どもを侍らすリーフを想像したホリーが吐き気を催して目を逸らす。
(似合いすぎだ)
 関わり合いにだけはなりたくないと思考して、踵を返したホリーの後ろ姿を、リーフは押し黙って見つめていた。

 リーフを始めとする精鋭隊のサポート役として、ホリーたちは(元々の身体能力の種類からも)陸上部隊となりほとんど離れて練習を行っていた。
 男だらけの合宿所でリーフは案の定ちやほやされはじめた。それを遠目に見つめながら、男同士の恋愛というものに全く興味が沸かないホリーは肩を竦めるばかりであった。ホリー自身、その容姿から言い寄られることはあったが、独特の近寄りがたい雰囲気と相手を一刀両断する冷徹さで誰一人近づけさせなかった。

「リーフはモテモテだな!」
 いつの間にか現れたロベルトが明るく言い放つ。どう対応してよいのか分からなかったホリーは曖昧な相槌を打ってその場をやり過ごした。妙に目について苛立ってしまうのだ。気持ちを鎮めるように、明日の代表選手の最終発表に備えて自室で睡眠をとることにした。
薄暗い部屋の中、浅い眠りを寝苦しさの内に覚めさせたホリーは己の身に降りかかっている不幸を認識出来ずにいた。どくんと脈打つ下半身だけが生々しい。

「起きた?」

 自分の上にのし掛かり、あろうことか下半身をまさぐっている天敵(ということをホリーはこのときハッキリと認識した)はニコリと花も綻ぶ笑みを浮かべて悪びれ一つ無さそうだった。
「やめろ………どうしてここにいる……」
「鍵しめてなかったからさあ、不用心だと思って」
「ご親切にどうも。早く出て行け」
「安心してよ、きちんとしめたよ」
「なにをっぁ!」
「こっちもきちんとしまってる?」

 直接菊座に触れる手が独特の水気を帯びている。転がったローションに混じり始めている淫靡な香り。ホリーはいよいよ焦り始めた。

「どういうっつもりだ……!」
「明日でお別れかもしれないと思ったら、君に悪戯したくなって」
「クズ」
「あはは!思った通りの反応だ!」

 無邪気に笑うリーフの手の動きが激しくなる。腹の奥に灯った炎がくすんでいる。燃え上がりそうな快感が得られないリーフは完全には入りきらない力でリーフを押し返す。

「俺を、っお前の趣味に、巻き込むな……!」
「セックスは誰だって好きだろ?」
「そこら辺の奴とでもしてろ、発情狗」
「煩いその口、塞ごうか」

 直後重ね合わせられる唇がホリーの口内を蹂躙し始める。慣れた手つきのリーフは着実に下半身の準備を進めている。自分のされそうになっている事柄に覚えがあったホリーは全力で逃れようとするが、全体重をかけられた今では不可能である。しかもいつの間にか両手には手枷のようなものを付けられていた。

「ホリー、君の顔すっごい好みなんだよね……精液でぐっちゃぐちゃにしたいよ」
「お断りだ女男」
「可愛い」

 にっこりと微笑みで返したリーフがお仕置きと言わんばかりに下腹部を強く擦る。経験を積んでいるのであろうリーフの与える刺激は的確だ。あっという間に息が上がってしまったホリーは、それでもまだ相手を睨み付けたまま逸らさなかった。

「可愛い、すごい可愛い、ねえ俺のものになってよ。飼いたい。飼わせて。いいでしょホリー」
「頭ン中精液で一杯みたいだな」
「うん、ホリーで一杯。はあ……早く、入れ、たい……」

 その言葉の直後、経験なんてない、あらぬ所へリーフの指が入り込む。肉体的にも精神的にも辛いその状況に体を震わせたホリーにも、全く容赦はしない。

「ホリーの中あっつい。この中、かき乱していっぱい鳴かせてあげるから」
「っぐ……」

 体を仰け反らせ、一気に質量の増した下腹部の痛みと気色悪さにホリーはいよいよ吐き気を起こした。バラバラ動く指は容赦がない。正直怖ろしいし、とんでもなく痛い。それでも矜持のままに相手を睨み付けるホリーを満足そうに見つめ返しながら、リーフは取り出した己自身を相手の入り口へと宛がった。無理だ、やめろ、やめてくれ!そんな言葉も放てず、ホリーは唇を噛んだ。一気に貫かれる。骨が軋む音を聞いたホリーは痙攣したように声にならない叫び声を上げた。潤滑油として流れた赤にも目をくれず、気ままに腰を進めるリーフは直ぐに、ホリーの弱点を見つけ出した。

「ひあっ!?っあっ」
 女のような嬌声に口を塞ごうとももう遅かった。うっとりとした表情のリーフがわざとらしく顔を近づけて微笑む。
「ホリーの中、すごい……アナルにも名器ってあるんだね。アナルが名器って、ホリーはとんだ淫乱野郎だね」
「うるさっあっう゛ぁぁ」
「君、先天的にお尻で感じちゃうんじゃない?ペニスがこんなに元気になってるよ」
「ひ、んっ」
 指先で摘まれた箇所がビクンと震える。
「恋人でもない男のペニスお尻に咥えて、こんなになってるんだよ、ホリー」
「黙っ」
「ああほんとうに可愛い……」
 早くなる腰の動きに、形振り皮まず喘ぐことしか出来ないホリーはぼんやりとした視界の中で、満足そうに見下ろしてくるリーフに殺意が沸いた。
「いあっ、……あっぁぃ!!」
「イっちゃいなよホリー。アナル攻められて簡単に出しちゃう淫乱だろ?」
「っ!」
「一々反応するんだから!そういうとこが可愛いんだよ……」
 一層深く入り込まれたホリーは呆気なく達してしまう。ビクビクとひくついている箇所にも容赦なく攻めるリーフは結局、ホリーの中に熱を発した。

「くたばりやがれクソ野郎」
「気持ちよかったくせに」
「……殺す」
「最初お前大嫌いだったけど、そんな敵意剥き出しにされたら気になるじゃんか。嫌がらせに抱いてみたけど思った以上に可愛い。飼いたいって言うの本気だからね」
「冗談は脳みそだけにしろ」
「減らず口だ、やっぱり可愛い可愛い俺のホリー」

 頭が可笑しい。話を全く聞いていないリーフに嫌気が差すも、翌日発表された選考メンバーの一覧に二人仲良く組み込んだことにより、ホリーは相手に離して貰えなくなるのである。

「ホリーとの体の相性、抜群だし、他の奴とはもうしないよ、その代わり毎日相手してね」
「俺たちの関係を勝手に位置づけるな」
「ホリー、あそこの岩場に行こうよ」
「頭打って死ね」

 誰かこの異世界人をいなす方法を教えてくれ、そう縋るような思考になりつつも、周囲はただ、妙に温かい目でこちらを見守ってくる。地の果てまででも追ってきそうな様子のリーフを眺めながら、珍しくホリーは泣きそうになった。

2010/4/15 Thu 20:15


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