べろんべろん。そんな言葉が良く似合う。ってかそれしか言えない。

『…あの、そいつ』

「お知り合いの方ですか?」

バイトの帰り道、アパートのそばまでくると自分の彼女が見知らぬ女の子に担がれていた。
彼女を担ぐその女の子は俺を見るや安堵したらしい。いや、むしろ懇願の目?

「なんか、そこの路上で酔っ払「酔ってなんからい!」

あぁそういう訳か。
ずるずると引きずられるように連れてこられたのだろう。靴の先がこすれている。

『あと運ぶから』

「本当にありがとうございます」

彼女はとても丁寧なお礼をして帰っていった。つか道端で寝てるのを拾うって随分お人好しだなぁ。なんて考えながら、取りあえず酔っ払いを背負う。


『臭ぇ』

「るっちゃい」

また仕事でのストレスかなにかだろう。毎回毎回こうなるならいっそ呼び出してくれればいいのに。

『ほら、俺んちだけどついたぞ』

「んー。」

アパートまで連れて行き、取りあえずリビングのソファに下ろす。
一旦台所に向かいお水を持って部屋に戻ると、そちこちに服が脱ぎ散らかされていた。

『なまえ!着替えるなら着替える、脱ぐなら風呂に行くなりしろ!』

「んー。カイジー。ギュー。」

パンツとブラという本当に残念な格好で抱っこをねだるなまえ。
いやいや、ギューじゃねぇし!
しかしこうなってしまうと本当にどうしようもないので、仕方なくそのまま洗面台に連れて行く。

『あぁもう!ごちゃごちゃ置きすぎなんだよ!』

「それ、その黄金色の瓶」

抱っこしたまま洗面台の瓶とコットンの箱を取りメイクを落としてやる。以前酔っ払ってそのまま寝かせたら凄い剣幕で怒られたからだ。
メイクを丁寧に溶かし、ホットタオルで吹いてやれば、そこには一回りも幼い顔が虚ろな目でこちらをみていた。

(本当に化けるよなぁ…)

そのままTシャツ一枚を着せベッドへと運んでやる。
うーとかあーとか呻いていたのでペットボトルの水をそのままベッドサイドへ置き、自身も布団に潜り込む。

「カイジィー。カイジの匂いー」

『うわっ!…なまえ?』

首筋にグリグリと鼻先を押し付けてふにゃりと笑う。
いや、そんなに密着されたらっ!

『なまえ、ヤバいって本当にヤバいって』

「カイジ、カイジ、好きー」

プツン。
あぁもう知らねぇからな!と半ば怒鳴るように吐き未だにうにゃうにゃ言っているなまえを布団に組み敷く。

「カイジのエッチ」

『うっせ。大体なまえが悪いんだからな』

飽きるほど貪ってやろうと心に決め、まぁこうなるのは大方予想出来たよなぁ。と思うカイジだった。


【酔っ払いと確信犯】