あれからずいぶん時が経ちました。

『支度、すみましたか?』

「ごめん、もう少し」

『分かりました。ゆっくりで大丈夫ですよ』

今私はひろくんと一緒に住んでたりします。
私もひろくんもかなり成長しました。
多分見たら驚きます。とくにひろくんは見違える程格好よくなっちゃったんですよ?

「ひろくん、お花とかってどうすればいい?」

『あー…天さんのお嫁さん達がなんとかするみたいなこと言ってましたよ?』

私はといえば、相変わらずグズグズとくすぶりながら生きてます。なんでもっとスカっと生きられないのかなぁ…。

『なまえさー…あ、手紙ですか?』

「うん。あと少しだから…いいかな?」

『わかりました。じゃあ他の準備とかしてますね』

「ありがとう」


それでも、私には沢山の時間があるのでもう少しゆっくりしながら自分なりの道を探したいと思います。

「赤木さんのところはあったかいのかなぁ…」

(あぁ…あったけぇよ)

「えっ?」

書く手を止めて顔を上げる。

「あか…赤木さんっ!」

いつもと変わらないクシャクシャの笑顔。
目の前には大好きで大好きでたまらない貴方がいた。

「なんで?あれっ?」

(ひろと仲良くやってけよ?)

夢でもいい。なんでもいい。
とにかく目の前には赤木さんがいて、嬉しさのあまりにいっぺんに溢れ出る涙を拭う。

「赤木さん、あのねっ!」

伝えたいことが沢山あるのに言葉が上手く出てこない。

「あの、その、」

(なまえ…)

ふわりと笑う赤木さんから目が離せない。あまりのことに固まっていたら懐かしい手のひらと唇の感触が頬を掠めた。

「あっ…」

(なまえ、お前もそろそろ前だけ見ろ、振り返るな、進み出せ)

「…ぎさん…赤木さん!」

『うわっ!…なまえさん大丈夫ですか?』

「ふぇ?」

あれ?

『いや、なんか机に伏せてたんで…』

「あのねひろくん、今…やっぱりなんでもない!」

『もー。早くしないと天さん達来ちゃいますよ』

「ごめんね」


赤木さん。
私もひろくんも天さんもみんなみんな貴方が大好きです。
貴方の居ない世界は少しもの足りないですけど、それでも赤木さんに自慢できるように生きるように心がけます。

「お待たせ!」

『天さん達きてますよ。行きましょう』

だから、もう暫く、上から笑って見ていて下さい。


(さっき夢でも見てたんですか?)

(いや、あれは夢じゃないと思う。あ!天さん、遅れてごめんね!)

【Last_Kiss〜more〜】