「もー銀さんなんか大っ嫌い!」

『好きにしろ』

『…なにがあったんですか』

朝からリビングでギャイギャイ騒ぐ声がして、不安になり起きてみれば闇のフィクサーこと銀さんと、その右腕と謳われているなまえさんがテーブルに向かいあわせてに座りながら一つのお椀を巡って熱いディベートを交わしていた。


「聞いてよ森田ー!」

ガタガタとテーブルから立ち上がりこちらに食ってかかるなまえさん。

「銀さんってば赤味噌は邪道だって言うんだよ!」

『あんなもん味噌汁に入れるな』

「なっ!」

あぁ。頭が痛い。

「白味噌なんか味が薄いだけじゃないですか!」

『赤味噌こそしょっぱいだけじゃねーか』

昨日はオムライスのケチャップかデミグラスかで揉めていたような気がする…。

「森田は勿論赤味噌派だよね!」

『えっ?』

『勿論、白味噌派だよな…なぁ森田?』

『いや、あの…』

自分は澄まし汁派なんで…と小さく呟けば有り得ないという目でこちらを睨むお二方がいて…。

(澄まし汁はないわぁ…)
(まったくだな)
(もう何だっていいじゃないですか…)




【犬も食わない】