銀二が仕事で家を空けてから二週間。
最初のうちは家のことをやってみたり、散歩に出かけたり、森田に遊んでもらったりしていたが、やがてそれも尽きてくる。

「銀さんもうすぐ終わるかなぁ…」

最初の頃こそ電話やらメールやらがあったもの、最近ではそれすらも皆無。
しかし、夜中の0時を回ったあたりで、今一番聞きたかった着信音が携帯から聞こえてきた。

「も、もしもし?」

『…ハロー』

「…銀さん?」

『なんだ、まだ起きてたのか』

「だって、眠れなかったんだもん」

『クククッ…そうか…寂しいか?』

「…そんなことないし」

『(図星だな)なぁ、なまえ』

「なに?」

『もうすぐこのヤマも片付く。そうしたら、どこか旅行でも行くか?』

「旅行!行く!行きたい!」

『なら場所だけ決めておけ』

「うん!銀さんありがとう!」

『いや、いつも悪いな。それはそうと早く寝ろよ』

「はぁい」

『良い子だ、おやすみ』

「おやすみなさぁい」

ピッ。

電話一つで舞い上がれる自分に苦笑いをしながら、かすかに香る銀二の匂いのするベッドに潜り込んだ。

(やっぱり、一人のベッドはいやだなぁ…)

数時間後、目覚めた隣に愛おしい彼がいたのはまた別のお話。

【callcallcall】