『なまえさん、ほらあちらのも』

「船田さん、あっちのも捨てがたいですよ」

キャイキャイ、そんな効果音が良く似合う。

『あの人達、いくつ食べるつもりなんでしょうね?』

『もう放っておけ…』

いつものごとく、なまえが突然ケーキバイキングに行きたい!と騒ぎ出したのは午前中のこと。さしてやることもなかったから丁度良いかと連れて来たのがお昼ちょいすぎ。

「銀さんはいらないんですか?」

『意外と美味しいですよ?』

ニコニコしながらお皿に山盛りにケーキをもってきたのは、言い出しっぺのなまえと、意外にも船田だった。

「船田さん、次あっちのフォンデュ攻めませんか?」

『いいですねぇ』

モフモフと、二人してケーキを頬張る。
森田が途中で2、3個摘んで来たのを脇から食べながら、銀二は盛大なため息をついた。

『船田さん、それ以上は健康的にどうかと…』

『銀さん、気にしてはいけませんよ?』

「そーですよ銀さん!」

せっかくのケーキなんですからと、二人してお皿を持って立ち上がりフォンデュのコーナーを目指して行く。
そんな背中を見ながら、本日3杯目のブラックコーヒーに手をつけた。

【甘党な悪党】