ズルズルズルズル。

「カイジ?」

『どうした?』

「いや、邪魔なんだけど」

なんなのこいつ。
今日は久しぶりのオフ日で、普段出来ない掃除やら片付けやらをやろうと意気込んでみた矢先。

『久しぶりの暇だろー。掃除なんて普段からしてるしよー。』

と言われてしまった。
確かに部屋に入り浸るようになってから、掃除洗濯はカイジの仕事になっていた。それなりに几帳面な彼は、割と良い仕事をしてくれる。
しかし、しかしだ、この天気だ。布団も干したいし、久しぶりに保存食作りにも勤しみたいのだ!
材料もしこたま買い込んだ。瓶もきちんと消毒した。なによりこの家の収入が不安定だからこそ、できることはやっておきたいのが本音。

「カイジ、お願いだから」

『なまえ〜。』

膝立で腰に抱きつき捨て犬みたいな目でこちらを伺う。
やめろ!その目に弱いのはお前も知ってる…あぁそういうことか。

「わかった。負けた負けた。」

『!…なまえ〜♪』

明日の天気を考えながら胸に頭をこすりつけてくるカイジをみやり、明日こそやることをやろうと意気込み直した。

(ところでなにするの?)

(えっ?とくに決めてねぇよ?)

【考えてから物を言え】