イッチャイッチャイッチャイッチャ。
久しぶりに大きな山が終わって、打ち上げをやろうと料亭を貸し切ったまでは良かった。
トイレに立ったあの数分になにが起きたんだ?

『よぉ巽!遅かったなぁ!』

「巽しゃんおかえりー」

膝の間に挟み込むようになまえを抱っこする銀さん。いや、あんたそんな人だったのか?

『やっさん…『だから、そんなん適当に囁いてりゃいいんだよ!』

森田が助けてと言わんばかりでこちらに視線を向けてくるが、こうなったやっさんを止められるのは船田さんしかいない。ていうか、船田さんがいない?

『銀さん、船田さ『クククッ、どうしたなまえ?もうギブアップか?』

「まらっ…だいじょぶらもん!」

ダメだ。とりあえずタバコ買ってくると部屋を立てば廊下でばったり船田さんがこちらを苦笑いで見ていた。

『あの銀王なる人があんなにデレデレになるなんてねぇ』

『俺ぁもうあの部屋に居たくねぇよ』

廊下に二人して座りこんでタバコをふかす。
奥の客間からは相変わらずやっさんと森田の騒ぎ声と銀さんとなまえの甘ったるい声が聞こえる。

『はぁぁ…』

盛大なため息をつきながらそろそろ部屋に戻ろうとすれば、何故か船田さんは自分とは逆に進んでいる。

『船田さん?』

『あとは任せたよ巽くん』

にこにこ笑顔で帰路に向かう彼が羨ましかったが、あの場を収めないと出禁を食らうはめになるので、グッと肩を延ばしながら混沌への襖をひらいた。


【紙一重、友情】