歩く。歩く、歩く、歩く。
白蛇はひたすらに足を進めた。走らずに居るのは最早意地だ。認めよう。こんなやつから逃げているなんて言われたくなくて、駆け出すことだけはしたくなかった。
「白蛇……」
「しつこい。」
「冷たいねぇ。」
「……。」
一刀両断の下、振り返ることなく足を進める。
そろそろ一周してしまうような気がするのは気のせいであって欲しい。
「……。」
誰かに助けを求めればいいのだが、どうせじゃれているだけだと言われるし、何よりそれをネタにからかわれるのは目に見えている。
「白蛇。」
「!」
打開策に思考を回していると手首を掴まれた。
「もう……、いいだろう?」
「……。」
「寂しいんだ。」
「……。」
切なげな声に渋々振り返る。
僅かに細められた目も、淡く口元に浮かぶ笑みも、ただただ腹立たしい。
「だから……」
「少しでいいんだ。」
「無理だ。」
前言撤回。
誰でもいいから助けが欲しい。