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「こんにちわー、あれ?沢田さん一人でお留守番ですか?」
「子供か俺は。全員出払ってる」
「珍しい」
「学校帰りか」
「はい、井川さんに数学教わる約束してて。ちょうどよかった、空いてる机借りますね」
「…待てなまえ、ここでやるのか」
「勉強できて沢田さんに会えて一石二鳥!」
「はぁ…、制服で来られると困るんだがなぁ」
「ドキドキしちゃいます?」
「違う!…近所の目があるだろう、ヤクザの事務所に女子高生が出入りしてるとか、下手したら通報されるんじゃないか」
「大丈夫です、ちゃんと合意のうえでの行為でしたって言います」
「勉強しに来たんだよな?」
「あ、メール。…井川さんちょっと遅れるそうです」
「自習してろ自習」
「はーい」
「…」
「…」
「…」
「…沢田さん」
「なんだ、分からない所はひろが来るまで保留にしとけ、俺は分からん」
「肩、どうかしたんですか?」
「?」
「さっきから何かと手をあててますけど」
「あぁ、…最近肩やら背中やらやたら凝ってな」
「…」
「なんだその憐れむような目は」
「おっさんくさ…」
「実際おっさんなんだからしょうがないだろ」
「じゃあ肩もみしてあげます!」
「いいから勉強しろ」
「友達にもけっこう好評なんですよ私の肩もみ。みんなでもみっこするんですけど私が一番上手いって」
「…何やってんだ女子高生…。肩なんかこらないだろ、若いんだから」
「そんな事ないですよ、ケータイとかパソコンとかやってるとけっこう目と肩にくるんです」
「そういうもんか」
「そういうもんです。それじゃー失礼しまーす」
「おい、いらねぇって。…、……」
「あ、ほんとにこってる」
「…確かに上手いな…」
「でしょう?お客様、力加減これくらいでよろしいですかー?」
「…もう少し強い方がいい」
「あはは、はーい」
「…」
「…沢田さん、これ肩だけじゃなくて首から背中までガッチガチですけど」
「言っただろ、やたら凝るんだよ」
「うーん、ちょっとあっち移動しましょう」
「ソファーか?」
「上着脱いでうつ伏せになって下さい。友達にする時も大体この体勢なんでこっちのがやりやすいし」
「割と本格的にやってるんだな…こうか」
「運動部のマネージャーやってる子に教わったりもしたんでちょっと本格的なとこもあるかもしれないですね。よいしょ」
「……おい」
「なんですか」
「なんでまたがる」
「え?」
「え?じゃない、寝てる横からやるんじゃないのか」
「こっちのが体重かけやすいんですよ」
「それにしたってこの体勢はちょっとまずいだろ」
「あ、振り向かないで下さいスカート際どいんで」
「やっぱりまずいんじゃねぇか!」
「確かにちょっとアレですね、そういうお店みたいですね」
「店とか言うな」
「まぁお気になさらず。ハイまず背中からいきまーす」
「いや気にするだろ、降り、ぅぐ」
「この辺りは中枢と言いまして…」
「……くそ、やたら上手ぇなほんとに…」
「ぼったくったりしませんから安心してください」
「当たり前だ」
「苦しかったり痛かったりしたら言ってくださいね、よっと」
「っん」
「ご希望通り強めにやってますけど、大丈夫ですか?」
「…ん、大丈夫だ」
「じゃあこの強さでいきますね」
「…」
「…」
「…ふ」
「…」
「は、…っ」
「……」
「…っんぅ」
「やらしい!!!!」
「は!?」
「変な声出さないでくださいよ!」
「出してねぇ!背中思いっきり押されりゃ息が漏れるのは当たり前だろうが!」
「なんか鼻にかかった甘い吐息でしたよ!」
「吐息とか言うな気色悪ぃな!あぁもういいから降りろ!」
「みょうじさん、ごめん遅くなっ、!?」
「ひろ、何固まってんだよ、なまえちゃーん、天さんも来ましたよー、数学なんか置いといてみんなで飯でも、!?」
「「あ」」
「さ、沢田さん…何してるんですか…?」
「女子高生に何させてんだよ沢田さん!羨ましい!」
「違う!ただのマッサージだ!」
「そ、そうですただのマッサージですよ!」
「どう見てもそういう店のそういうマッサージですよ…」
「そのつもりがなくてもその体勢はまずいだろ…」
「馬鹿言うな!こんな貧相な子供にのっかられたところで何とも思いやしねぇよ!」
「…貧相って」
「沢田さんが何とも思わなくても世間的にまずいでしょう」
「そもそも女子高生にそんな事やらせようっていう発想がもうアウトだよ」
「待て違う、これはなまえが自分から」
「制服姿で奉仕しろと強要されました」
「最低です」
「最低だな」
「は!?おいなまえ!合意の上でしたって言うとか言ってただろうがお前!」
「私は嫌だって言ったのに…!」
「うわぁ、口裏合わせまでさせようと」
「沢田さん…」
「違う!!」





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