dusk. | ナノ




「いらっしゃいませー、うわ、二人ともすごい汗だね」
「こんにちわー、だってもう外すごい暑さですよ」
「ちわ。…涼しい…」
「なるほど涼みに来たわけね。…はぁ、高校生の夏服姿ってどうしてそう眩しいんだろ、若さって日差しを反射するのかしら」
「えぇ?何言ってるのみょうじさん」
「アイスコーヒーください」
「あ、はいはい、工藤君はアイスコーヒーね」
「俺はアイスキャラメルラテクリーム多めで!」
「…甘」
「宇海君はキャラメルラテクリーム多め、と。かしこまりましたー、はいおしぼりどうぞ」
「ありがとうございます、うわー冷たい」
「…っぷは」
「ふふ、工藤君顔さっぱりした?」
「涯君それちょっとオヤジくさいよ…ぷはーさっぱりした!」
「人に言ったそばから」
「あはは、相変わらず仲良しだねぇ、夏休みはもうそろそろ?」
「今月末からです。あと半月くらいだね」
「その半月が長い」
「もうちょっとだよ、がんばれがんばれ。二人ともどこか遊びに行ったりするの?」
「うーん今のとこ、クラスの友達とプールに行くくらいかなぁ。あとは塾の夏期講習」
「図書館とバイト」
「宇海君も工藤君も勉強熱心だねぇ、おばさん感心しちゃうよ」
「やだなみょうじさん、おばさんってそんな」
「お姉さん、で問題無いと思いますけど」
「…アイスをサービスしてあげましょう」
「あはは!やった!」
「お世辞も言ってみるもんだ」
「ちょっと工藤君」
「こら涯君」
「…冗談です」
「よろしい」
「ねぇ涯君自由研究一緒にやろうよ」
「いいですけど、何やるんですか」
「おー、夏休みって感じだねぇ」
「朝顔の観察とか?」
「意外すぎる」
「あはは、何それ可愛い」
「週一くらいでここで会ってお互いの記録照らし合わせてさ」
「はあ」
「何にせよ、うちを使ってくれるのは大歓迎。はい、コーヒーとラテお待たせしました」
「あ、アイス乗ってる!」
「おぉ…コーヒーフロート」
「懐かしいなぁ自由研究…あれ?でも高校生って自由研究なんてあるの?」
「え?無いですよ?」
「は?」
「え?」
「あ、そうか涯君一年生だからうちの学校の夏休み初めてか!えぇとね、数学と英語と古文が薄い問題集出て、現文は読書感想文、理社系は何にも無いけど、休み明け全教科実力テストだよ」
「いやそうじゃなくて、何でありもしない自由研究に誘うんですか!」
「ちょっと待ってどういうことなの」
「だって、夏休みも涯君と遊びたいじゃない」
「…え」
「…あ、なーんだなるほど、よかったね工藤君、いい先輩がいて」
「あははそんな、照れるなぁ」
「………いやいやいやでもおかしいだろ!」
「持ち直した」
「もう一押しだったかな」
「なんで!高校生にもなって!ありもしない自由研究で!朝顔の観察だ!」
「まぁ、普通に出された宿題したらいいじゃんとは思うよね」
「でも涯君意外に勉強できるから、普通の宿題はすぐ終わらせちゃいそうだろ、だから何か他に課題が欲しいなって」
「俺はあんたがそれで学校一の天才と呼ばれてる方が意外です」
「紙一重ってほんとなんだねぇ」
「それにほら、そしたら週一でみょうじさんに会えるわけだし」
「…」
「えっ何、どうしてその流れで私」
「自由研究の内容は改めて考えるとして、悪い話じゃないと思うんだけどなぁ、二人とも嫌?」
「…や、まぁ別に」
「嫌じゃあないけど」
「そっかよかった!じゃあ決まりだね!」
「…いいように弄ばれているような気がする」
「恐ろしい先輩を持ったね工藤君」





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