//


【小ネタ】

「そういえば、やけに静かですね」

 思い出したように問い掛けたら、相変わらずむさ苦しいこの部屋に台所を出現させようと奮闘している魔王さまはあっはっは、と笑った。

「なんかさー、部下達が揃いも揃って休暇とりやがって」

 良いのかこんなんが魔界の頂点で。

「今頃バカンスですか」

「バカンスっすね」

 捩り鉢巻きを巻いて、トンカチを装備した魔王さまは艶やかな黒い髪を振り乱しながらトンカントンカン瓦礫の山を叩き始めた。魔法を使え。魔法を。
 それだと呪ってるようにしか見えませんから。

「魔法は使わないんですか?」

 絶対そっちの方が楽だと思うんですけど。というか私を早く帰して下さい。

 魔王さまはきっ、とこちらを睨むとこう仰った。

「魔法は魔王の特権だろ! 勇者はやっぱりトンカチだろう!」

 その考えは激しく間違ってると思いますよ、魔王さま。

「どっから突っ込めば良いですか?」

 勇者も魔法は必須だと思うのですが。
 トンカチを装備した勇者って何なんですか一体。

「あっはっは」

 だから怖いですってば。
page.2
bkm
>>top
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -