あとがき
ゾルフ・キンブリーという男が悪役ながらに非常に人気が高いことは知っていて、ハガレンのファンフィク書こ〜!と思ったときにも改めて「キンブリーってかっこいいな」と思いました。でも、こうして書き終わってみた今、とても掴みどころの難しい人間だと思っています。それはわたしが、キンブリーを全然理解していないようなしてるような…なこの夢主の気持ちで彼を描写してきたからかもしれませんが、やはりよくわからなくなってきたな、というのが正直なところです。
鋼の錬金術師は本当に面白くて最高の漫画ですが、その感じ方の一助になっているのがキャラクター一人一人が立っててどういう人間か分かりやすいところだと考えています。特に多くのキャラクターの中でも、己の好き嫌いを言葉に表してくれるとバカでも理解できるので助かります。わたしにとって特にわかりやすいのが、原作15巻での「いいですね、意思を貫く人間は好きですよ」でした。彼は原作中何度も、己がどういう人間が好きで、逆にどんな人が嫌いか(最後にホムンクルスを背後から刺すような真似をして、それは醜い、と主張したことからもなんか自分の信条にうるさいことがわかります)言葉にしていました。なのでわたしは、彼にとって嫌いなタイプの人間、己の本分を全うしないばかりかそれが何なのかも理解していない人、そして何より彼の人生で好みを決めるような人(己の本分をわきまえない人は美しくない、という指標を決定づけた人)を夢主にしようと考え、そこから捻りだされたのがこの"さよなら、ソーネチカ"です。
題名の”さよなら、ソーネチカ”は、ドストエフスキーの罪と罰から取りました。主人公に、己の罪をしっかり見つめるよう促す、ある意味主人公の対比として出てくるのがソーニャ(英語名にするとソーネチカらしい)で、でも彼女も聖母ではなく色々複雑な事情を抱えています。厚くて文字が多い本は読む気が失せる。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
またこんな感じの中篇書きたいです。