【声に出さなくとも分かるよ。何も言わないで、分かってるから。だってお互いの心は繋がっているでしょう。】そんなのは画面の中での作り話だ。好きだと一言言って欲しい。そう思い始めたのはいつからだったか。けれどこれには大きな矛盾がある。この私に問題があると言っても過言ではないのだけど、好きだと言われたら頭が真っ白になるくらい照れてしまうに決まってる。呼吸困難になってしまうかもしれない。それじゃあ言いがいというのもあったものじゃないでしょう?だったら自分から言えばいいのかな。でも私から言うなんて好きのすの字も言うのに何秒何分何時間何日かかるかわからない!ああ自己嫌悪してもし足りない。好き好きすきすきすきすき、心の中なら何回だって唱えられるのに!

何やら最近花巻が挙動不審だ。ちょっとした拍子に声にならない”す”を連発している。最初はああキスでもして欲しいのか?なんて短絡的に思ったのだけれど、何だか違うみたいだ。す、に続く文字と言えばまあ妥当な線で言うなれば”好き”くらい。これは花巻なりの未知への挑戦なのかもしれない。だったら俺は何も言うまい。その二文字を伝えられるその日まで待ってやろう。と思うのだけど、何年かかるのやら。


好きを伝えてなんて無謀なことでしょうか?


20100327



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