雑貨屋で見つけたポップなステッカーを目の前に持ち上げてぼーっと眺める。そこにはありきたりな英字が惜しげもなく堂々とプリントされてる。どうしてこんなものを買ってしまったのかというと、大した理由はない。ただいつも持ち歩いているチェック柄のメモにアクセントみたいな何かを貼りたいなと下校途中の気になっていた小さな雑貨屋さんに足を運んでこのステッカーに出会ったのだ。他にもイロイロあっただろうに、それを買ってしまった。家に帰ってさあ貼ろうとしたらまたなかなか勇気がでない。ステッカーをシートから剥がしてぺたりと貼るだけよ!と先程から何回も自分に言い聞かせているのだが、どうにもこうにも上手くいかない。

「I…you、……だ、だめぇ…っ」

最後の一単語が意味する人を思い浮かべるとますますステッカーから指が遠のいた。日常的に安易に甘い言葉を口に出さない彼にこんなもの見られたらどうしよう。なにこれ、って言われてその先は想像すらできない。それどころかクラスメトに見られたら私はどうすればいいの?loveって愛してるって意味で、好きとはまた違って、なんだか情熱的で、とにかく口に出すのも恥ずかしい!一人で悶えている姿はなんて滑稽。とてもじゃないけどカバーにこんなの貼れない!そうやってモヤモヤぐずぐず考え抜いた苦肉の策。


最後のページにI love you!のステッカー


20100327



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