手を握る、並んで歩く、見つめ合う、キスをする。ここまでくるのに幾年月を重ねたか正確には分からない。だがとても長かったように思える。全部初々しく慣れること自体持ち合わせていないのではないかと疑いたくなるほどにぎくしゃくとした過程を経てきた。自分がこんなにも根気強いものだったと新たなる発見までしてしまったし、けれどその発見は実は間違いで正確には花巻限定のものだったり。それを惚気だと思うのは人それぞれだろうが、少なくとも俺は本気で自分が寛大な人間だと思い込んでいた。そんな感じでいろいろと振り回されもしたが現在ではまあいいかと思う余裕がある。そして”今”に満足なんてしていないのだ。人間誰しも貪欲なものなのだから。さて、待ち合わせの時間まであと数分と公園の長針が示している。来たらまずなんて言おうか。春の陽気が運んでくる睡魔すらも吹き飛ぶくらいのリアクションが返ってくるような言葉がいい。あの林檎のような真っ赤な頬が拝めることを今日も期待するとしよう。
君の最初は、全部俺のモノになる予定。
20100327