かすかに震えるか細い指とすらりと伸びる指がほんの少し掠めた。指先からこみあげ頬にまで熱は伝導してしまったようだ。頬が可哀そうなくらい真っ赤に染まっている。廊下で一声かけただけでも過剰なほどに反応して、面と向かって話してみると声が消え入りそうなくらい小さくて、他人の言う事に左右されやすくて。まるで、正反対だ。例えるなら白と黒、動物と植物、固形物と液体。決して交わることのない、はずの互い。
「花巻、手握ってみて」
「え…あ、あの」
突然の申し出にショート寸前の頭では対処しきれないのか。わたわたと自分の手を彷徨わせてなかなか触れ合おうとはしない。ああじれったい、こちらから手を伸ばして空をきる手を包むように握った。
「そうじゃなくて、俺の」
「ほぇ…はっ、はいっ…!じゃ、なくて…え?ええ?」
「こうなったらリハビリするしかないな」
触れるだけで真っ赤になるなら慣れるまで触れ続ければいい。それ以上の事をしようものなら心臓が止まるかもしれないなら徐々に進んでいけばいい。交わるはずがない、はずがない。きっと、いや絶対可能だ。
何て言ったって二人は付き合っているのだから!
だからまずは指の先から、お手をどうぞ。
20100327