※多分9巻後の捏造
※最近徐々にチャットへ顔を出すようになってきた田中太郎(帝人)





 ――誰かと違う生き方をしてみたかった。
 平凡な生活に満足していなかったわけじゃない。波乱万丈な過激な人生を望んでいたわけでもない。
 ただ僕は、日常にほんの少しの刺激が欲しかっただけだ。
 ほんの少しの、刺激が。




in compliance with his wishes




♂♀


チャットルーム

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          ・
          ・
チャットルームには誰もいません。
チャットルームには誰もいません。
チャットルームには誰もいません。

田中太郎さんが入室されました。

田中太郎【あれ?】
田中太郎【珍しく今日は誰もいませんね……いつもなら集まってる時間なのに……】
田中太郎【……暫くROMります】
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          ・
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田中太郎【……来る気配がない】
田中太郎【じゃあ、また時間をおいてから来ます】

甘楽さんが入室されました。

田中太郎【!】
甘楽【セ―――(゚∀゚)―――フ!!】
甘楽【良かったぁ、間に合いました……危うくチャット相手を捕まえ損ねるところでしたよー】
田中太郎【甘楽さん!? いたんですか!?】
甘楽【もっちろん☆ かれこれ40分以上誰かが入室するのを待ってたんですからー!】
田中太郎【……暇なんですね】
甘楽【はぁい。優秀な部下が私の仕事を横撮りしちゃうんで】
田中太郎【……】
甘楽【ててっ……ログを見られて罵声を受けました。私立ち直れませーん(泣)】
田中太郎【いや、自業自得かと……】

内緒モード 田中太郎【そんなことより、臨也さん】
内緒モード 甘楽【やっぱり内緒モードできたか……】
内緒モード 甘楽【君がここに来た本当の理由はなんとなく分かってるよ】
内緒モード 甘楽【――『俺』】
内緒モード 甘楽【君は俺とやり取りをするためにここへ来た。……違うかい?】
内緒モード 田中太郎【……臨也さんこそ、僕に話があるから40分以上も待機していたんじゃないですか?】
内緒モード 甘楽【おや、正解だ。よくわかったね】
内緒モード 甘楽【じゃあ単刀直入に切り出そう……あれはどういうつもりなのかな?】
内緒モード 田中太郎【……】
内緒モード 甘楽【帝人君……君には少しガッカリしたよ。前の君は行動するのにもっと慎重なタイプだったじゃないか。なのにどうして……俺を拉致しようとしたのかな……?】
内緒モード 甘楽【ちなみに先に言っておくけど、君の魂胆は最初から見え見えだったよ。俺は敢えて君の策略に嵌ってあげたんだ。君の考えがどれくらい本気であるかを計るためにね。ま、拉致なんて俺は御免だから君が送り込んできた子達はみんな返り討ちにしちゃったんだけど】
内緒モード 田中太郎【……】
内緒モード 甘楽【いつまで黙ってるつもりなの? 言い返してきなよ。それとも俺から直々言葉を受けて君の中の何かが揺らいじゃった?】
内緒モード 田中太郎【……いえ】
内緒モード 田中太郎【本当に分からないんですか、臨也さん? 僕があなたを拉致しようとした理由】
内緒モード 甘楽【……そんなの俺が情報屋だからだろ。愚問愚答だよ】
内緒モード 田中太郎【概ねあっていますが、少し違います。臨也さんだからですよ】
内緒モード 甘楽【……?】
内緒モード 田中太郎【臨也さんと連絡が取れなかった時期には別の情報屋さんの力を借りていましたし、専属の情報屋が欲しいなら僕はもっと合理的な手段を選びます。僕は臨也さん……あなただったからそうしたんです】
内緒モード 甘楽【……】
内緒モード 田中太郎【拉致は本気でしたが臨也さんがあれぐらいのことで捕まるとは思ってませんでしたし、今回拉致は『未遂』で良かったんです】
内緒モード 田中太郎【今回の件はあくまで、臨也さんに僕がダラーズに対して真剣に向き合っていることを知らせるための意思表明だったので】
内緒モード 甘楽【……なるほど】
内緒モード 甘楽【革命は本気というわけか】
内緒モード 田中太郎【……ええ。僕のダラーズを取り戻すためにも、臨也さんには僕の目の届くところにいてもらうべきだと思っています】
内緒モード 甘楽【それは俺を信頼しているからかな? それとも疑っているからかな?】
内緒モード 田中太郎【両方です】
内緒モード 甘楽【ほう?】
内緒モード 田中太郎【僕がやろうとしていることを成就させる上で、恐らくあなたは一番厄介な立ちはだかる壁です。けど、あなたが味方につけばダラーズにとって凄まじい勢力になると踏んでいます】
内緒モード 田中太郎【……臨也さん】


内緒モード 田中太郎【ダラーズはあなたのダラーズじゃない。ダラーズは……僕のダラーズです】


内緒モード 甘楽【……】
内緒モード 甘楽【成長したねぇ帝人君。今の君は実に逞しく見えるよ】
内緒モード 甘楽【創始者の意志はダラーズの意志……つまり、ダラーズの一員である俺は――】
内緒モード 甘楽【君の手駒として、その意志に従おうじゃないか】
内緒モード 甘楽【だけどやっぱり拉致られてはやれないかな。あくまで俺は情報屋……沢山の人間に存分に利用されることを生業としているからね】
内緒モード 田中太郎【だとしても僕は、やっぱりあなたを側近に置きたい。その決意は変わりません】
内緒モード 甘楽【ふーん……まあ、精々頑張りなよ。最近俺も身を弁えて警戒を強めててね……用心棒をつけてるんだ。友達の手を借りてさ。だから――拉致は今回よりも難関になるだろうけど】
内緒モード 田中太郎【構いません】
内緒モード 田中太郎【僕は必ず、あなたを手に入れますんで】

田中太郎【すみません、友達から電話がかかってきちゃいました……】
甘楽【おやおやー? 誰ですぅー? 彼女さんですかぁー!?w】
田中太郎【いえ、学校の後輩から……】
甘楽【ちぇーっ、つまんないっ!】
田中太郎【つまんないって……;】
田中太郎【じゃあ、今日はこれで。また来ます】
甘楽【乙でーす!】

田中太郎さんが退室されました。

甘楽【……いつでも歓迎しますよ】
甘楽【では、私もっ♪】

甘楽さんが退室されました。

チャットルームには誰もいません。
チャットルームには誰もいません。
チャットルームには誰もいません。
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in compliance with his wishes……彼の希望に従って
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