08 放課後の静雄と新羅の雑談 放課後の事。提出物未提出で残されている静雄。 そんな静雄に新羅は駆け寄って来た。 新「ねえねえ!静雄!昨日名前ちゃんとデートしたんだって?」 静「はあ!?デート!?」 新「あれ?違った?でもネット上で凄い噂になってるよ?池袋の喧嘩人形が女といたって…」 そう言いながら新羅は静雄の目の前の席に座り、静雄を見た。 静雄は少し眉間に皺を寄せながら答える。 静「…昨日は名前とカフェ行った」 新「静雄!それを世間ではね!デートって言うんだよ!」 静「……」 静雄は更に眉を潜め、新羅にデコピンをした。 新「いだだだっ痛いよ静雄。ちょっとは力加減してよ」 静「ふんっ」 新「顔が赤いよ」 静「…そんなに殴られてえのか?」 低く唸るようにそう言えば、新羅は滅相も無いと首を振るだけだった。 新「静雄」 静「なんだ…よ……」 静雄は新羅の方を見ると、さっき笑っていたのが嘘のように真剣な顔をしていた。その雰囲気に静雄も言葉を詰まらせ、息を呑む。 新「気を付けなよ。」 静「あ?」 新「池袋最強の、平和島静雄と一緒にいる女。つまりは…言ってる意味、分かるよね?」 静「…ああ」 ーーー狙われる。 そう新羅は言いたいのだろう。 俺は一緒にいるべきじゃないのか、迷惑を掛けてしまうのではないか、静雄は暗い顔になった。 新「でもね。一緒にいるなって意味じゃないんだ。寧ろ彼女と一緒にいてあげてほしい」 静「……」 新「僕は前から仲が良かったわけじゃないけど。ううん、そんな僕でも分かるくらい名前ちゃんはよく笑うようになった」 静「……あ」 確かに最初の頃は俯きがちで、常に困ったような泣きそうな苦しそうな顔をしていた。だが、最近は彼女はよく笑うようになった。一番そう実感するは、紛れもなく静雄だろう。 静「わかった。気を付ける」 新「そういば、臨也の奴帰ってきたんだって」 ーーーベキッ その言葉はあまりにも唐突だった。 静雄は“臨也”という単語を聞いた瞬間、手に持っていたシャーペンをベキリと折ってしまった。 静「帰ってきたって、どっか行ってたのかあのノミ蟲野郎」 新「あれ?知らなかった?海外に行ってたんだよ」 静「そうかよ。」 新「なんでも、調べたい事があったみたい」 静「…」 新羅はどんどん不機嫌になる静雄を感じ取ったのか、それ以上臨也の話はしなかった。 [しおり/戻る] |