「来ないで……」

アリサの様子が気になった

アノ日以来、アリサとはまともに会う事が出来ていない

それは第一部隊に関わらず、全員の話ではあるのだが



―違う…違うの……―

―パパ…ママ……私そんなつもりじゃ…―

あの時のアリサは異常だった。焦点は合わず朧気で、ずっと謝り続けていた

アレは何かしらのトラウマを持った人間の反応だった。怯え、目の前を見れなくなって、自分の世界へと閉じこもってしまう

今のアリサから、何か情報が聞きだせるとは毛頭思っては居ないのだが、あえば何かしら分かるのではないかと憶測ながらも少しの希望を持って病室へと近づく

「…私なんか、私なんかッ!!!!」

不意に聞こえた大きな声…叫び声にびくりと肩を揺らす

音源は、病室。アリサが隔離されている、病室

「鎮静剤を、クッションは交換しておけ」

女性の声、落ち着いている。おそらく雨宮上官の声ではないだろうか

「ああ……ごめんなさい、御免なさい、ゴメンナサイ…ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ」

壊れた時計のように、繰り出される言葉は誰に対するのか、アリサは悲痛に叫び謝り続ける

「パパ…ママ…私…違う!違うの!!!」

「私だ…分かるか?アリサ」

雨宮上官の、宥める声。だが

「そんな!そんなつもりじゃなかったの!!…違うの!!私じゃない!!私のせいじゃない!!」

今のアリサには、何の言葉も届かないのではないだろうか?

そう思ってしまうほどに、彼女はただ独りでに言の葉を発していた

「ほっといてよ!!私なんかほっといてくれればよかったのに!!!」

その言葉を聞いた瞬間、僕の中に良く分からない感情の渦が出来、無意識に病室の扉を開けるボタンに手を伸ばしかけた






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