女の涙


喧嘩のときに彼女が泣けば、なんだか僕まで涙が出てくるんですよ。女の涙って、武器ですよね。だって泣いてる時って、きっと無防備になっちゃいますもん。いや、一概にそうは言わないでおきますが、女の涙は涙を誘う魔法みたいなものなんですよ、僕にとっては。映画でもみてたら、女優さんの泣きシーンとかみると、つられそうになるんですよ。僕が感受性豊かなのかな、って思えるかもしれないけど、男の人だったらなんにも感じないんですよ。何も、といったら語弊がありますが、とにかく、涙は誘われないんです。それが彼女だったら余計なんです。そうやって泣いちゃったら、彼女はちょっとヒステリック気味になって「泣きたいのは、こっちだよ!ばか!」なんて言うもんだから、つい、僕、かっとなっちゃって、彼女の嫌なところとか、思ってもないこと、言っちゃうんですよ。ばかですよね。そうなんです。感情的に言っちゃうんです。だったらボロボロ泣いてれば、まだいいんでしょうね。情けないんですけど、言い過ぎちゃうんです。そうしてから遣り場のない感情がぐるぐる取り巻くんですよ。彼女はもっとカンカンになるんです。女の人って、泣きながら怒れるからすごいですよね。同時に2つのことをやっちゃうんだから。僕はただ黙って話を右から左に流すことしか出来なくなっちゃうのに。そんな僕に彼女は「ちょっと聞いてるの!?」って。また、僕は怒られるんです。本当にすごいですよね。よく喋れるよなー、なんて頭の片隅に考えるのが精一杯の僕なんかより、彼女の方が泣きながらたくさんのエネルギーを消費できちゃうんですから。僕はたった一言、「ごめん」。これだけ言えばいいんですよ。そのあとは言っちゃダメなんですよね。いくら僕が悪くなくったって。どうせいつか、なにが原因で喧嘩したのか、どうせわからなくなるのが男なんですから。

どうせ彼女はそれだけじゃ許してくれないんですから、ワガママを黙ってきくのが、一番手っ取り早くて効率的なんですよ。

これでいいのかって?
いいんですよ、僕の場合。
だって彼女を愛してますから。









「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -