はきだめ2



頬が赤い理由

「ほっぺ赤いよ」「え?」部屋に帰ってきて僕を見るなりそう言われた。僕は両手で頬に触れてみる。「大丈夫?」いつの間にか彼は目の前にいて、顔を見合わせたら、大きな手が額に置かれた。「熱はないみたいだけど…」彼は心配そうに僕を見た。僕は具合なんか悪くなかった。だから僕は君に笑った。「君が帰ってきたから、かな?」


幸せに

なにも言わずに隣に居続けて。明日は今日よりも、ずっと居よう。幸せになろう、それは私の静かな願い。愛とか恋とか曖昧な不確かなものはいらないから、恋人になって、幸せになろうよ。それだけでいいから。


ちよこれいと

君に笑いかければ、とろけるような笑顔がかえってくる。そうするたびに、ああ、大好きだな、って思う。「なぁ、」今度はグイッて腕を引いて呼び止める。君はちょっと驚いたみたいだけど、俺を見るなり安心したみたいに、にこって分かって「なに?」ってかえしてくれた。特に用事なんかなくって、どうしよう、って思っていたら、ポケットにチョコレートが入っていたことを思い出した。「これ…、」「くれるの?」「おう」ムッ、と強引にチョコレートを突き渡せば、君はまるっこい手で小鳥を包むように、優しく受け取ってくれた。「ありがとう、でも、これ…」君は飛びっきりの笑顔を見せたあと、チョコレートを見た。「ちょっと、溶けてるね」君は困ったように笑った。俺は大好きな人に、溶けたチョコレートをあげてしまった。いてもたっても居られなくなった。咄嗟にでたのは、幼稚な出任せだった。「チョコレートだけに、ちょこっと溶けてる、なんてね」



下手くそな愛だよ、まったく






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