宙ぶらりん
「こわい?」
夜風が激しく私の髪を乱れさす。
だけど、そんなことに気がいかない私。がくがく震える手足。彼が心配そうに私のすぐ隣にきて、髪を撫で、手を握った。
「大丈夫、大丈夫」
優しい声色で、宥めるように、そう言ってくれた。
「はぐれないように、ほら、手つないだからさ」
あたたかい。体温も愛情も。
「うん」
指をひとつずつ絡め、涙ぐむ。
「じゃあ、またね」
「…うん、あとでね」
いち、にい、さん、し。
で、ビルから2人で宙ぶらりん。
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